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NHK、指で物を触れた感覚を再現できる装置を開発

» 2013年05月09日 21時08分 公開
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 NHKは5月9日、指や手で物に触れた時と同じ感覚を再現できる「触力覚提示装置」を開発したと発表した。視覚に障害がある人に情報を伝える手段として開発している技術で、直線的な輪郭を持つ物体なら、その形状をより明確に識別できるようになったという。

 手や指先が物に触れたときに生じる力を模擬的に再現する「力覚デバイス」を使い、そこに物体があるかのように感じさせる技術。指先の1点に力を発生させる従来の方式は物の形状を立体的に把握するのが難しかったため、新たに、1つの指先の5点に独立した力を発生させる方式を開発した。

 指先に配置した4ミリの刺激点×5つにそれぞれ独立した力を加え、その強さを3次元で制御。物を触れたときの皮膚の変形を伴う感覚を再現でき、稜線や頂点を感じながら輪郭に沿った触り方ができるようになったという。

 5つの刺激点はそれぞれ、空間位置の取得、仮想物体との接触状態の判定、反発などの力の提示――という3つのステップを1/1000秒ごとに繰り返し、物を触った感覚が安定して得られるとしている。

 今後は指の可動範囲を広げ、直線的な輪郭だけでなく、曲面なども再現できるようにしていく。研究成果は、5月30日〜6月2日にNHK放送技術研究所(東京都世田谷区)で開く「技研公開2013」で展示する。

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