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スマホは「かわいくない」から――“ガラケー世代”が作った10代女子向けメッセンジャー「DECOLINK」の狙い(1/2 ページ)

» 2013年05月10日 11時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo DECOLINK

 「かわいいものはかわいい。それは変わらないと思うので」。サービスの売りは「デコメ」と「絵文字」。今年2月に公開されたスマートフォン向けメッセンジャーアプリ「DECOLINK」(iPhone/Android)は、“ガラケー世代”の24歳女子が作った女子中高生向けサービスだ。

 特徴は、無料で公開されている1万点以上のデコレーション素材。動くイラスト「メッセージデコ」や、絵文字のように文中に挿入できる「チビデコ」などを組み合わせて、カラフルで感情豊かなチャットを楽しめる。アプリは2月22日にApp StoreとGoogle Playに登場し、4月末までに約6万3000件ダウンロードされたという。

 「LINE」や「カカオトーク」などが先行するメッセンジャーアプリ市場だが、DECOLINKを企画したサイバーエージェントの藤田奈都子さんは「まだまだチャンスはある」と話す。「スマホ時代になってから、デコメ(デコレーションメール)を使う人がすごく減ってしまった。でも、自分たちが10代のころに夢中になっていたデコメの面白さはきっと変わらないので、それを今の女子中高生たちにも届けたい」

UIは「あえてごちゃごちゃ」 目指したのは“ドキドキ感”

photo 藤田奈都子さん(アメーバ事業本部 teens事業部 DECOLINKグループ プロデューサー)

 DECOLINKには、デコ素材やスタンプをキーワード検索する機能がない。「特集」「人気」「新着」コーナーなど、大まかなカテゴリページの中から目当ての画像を探す仕組みになっている。

 「私自身、中学1年生の時に初めてJ-PHONEのケータイを買ってもらってから、毎日100件以上やり取りするほどメールにのめりこみました。毎日のようにデコ素材の無料ダウンロードサイトを巡って、たくさんのデコの中からかわいいものを頑張って探すのが楽しかった」と藤田さん。DECOLINKも、一昔前のデコ素材サイトを参考に、「あえて目当てのデコを見つけにくくしている」という。

 サービス全体のデザインも、すっきりとした今風のスマホサービスとは真逆の「ごちゃごちゃ感」を演出した。「今のスマホ向けサービスはスマートすぎるというか……。“ガラケー世代”の自分たちがあのころ、ごちゃっとしたデコ素材サイトにはまったように、今の女子中高生たちもきっとドキドキしながら使ってくれると思います」

photophoto 一昔前のケータイ向けサイトを参考に“ごちゃごちゃ感”を演出したという

 ユーザーは女性が「ほぼ100%」で、約4割を中学生が占めているという。初めて持った携帯電話がスマートフォンという“スマホネイティブ”の若者も増えつつあるが、DECOLINKでは、他のメッセンジャーサービスでも流行しているスタンプより、ガラケー風のデコ素材のほうが人気という。

 「私も大学生のころにスマホに換えてから、メールで絵文字を全然使わなくなってしまいました。スマホ自体は便利でかっこいいと思いますが、ガラケーが持っていた“かわいさ”は少ないように感じます。今の女子中高生も、ツールさえあれば、あの頃自分たちがドキドキしたような使い方をしてくれるはず。かわいいものはかわいいで、いつになっても変わらないと思うので」(藤田さん)

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