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スマホは「かわいくない」から――“ガラケー世代”が作った10代女子向けメッセンジャー「DECOLINK」の狙い(2/2 ページ)

» 2013年05月10日 11時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
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「LINE」ヒットは「正直、焦った」 後発でも参入する理由

 DECOLINKの構想がスタートしたのは2012年の1月ごろ。「LINEなどのメッセンジャーアプリが急速に盛り上がりつつある中、サイバーエージェントでもメッセンジャーサービスを出した方がいいのではという議論が続いていました」と藤田さんは振り返る。

 “後発”でメッセンジャーサービスを提供するに当たり、ターゲットの明確化を意識した。同社では従来から「アメーバブログ」「アメーバピグ」など女性ユーザーが多いサービスをいくつも展開していることから、既存サービスとの親和性を考慮して女子中高生向けサービスに照準を定めたという。

photo 同社が10代女子のスマホユーザー向けに2012年に実施した調査によると、「スマホ上でお金を使ったことはない」が69%だった

 こだわったのは、デコ素材やスタンプを全て無料で提供すること。同社の調査によると、メッセンジャーサービスを使っている女子中高生の約8割は、有料スタンプを1度も購入したことがないことが分かったという。「女子中高生とスタンプの相性はいいはずなのに、有料だから使われていない。DECOLINKでは“全て無料”にこだわった」(藤田さん)

 DECOLINKのリリースを前に、LINEが今年1月に1億ユーザーを突破。「正直、焦りました」と藤田さんは振り返る。「ただ、女子中学生のうちスマホを持っているのはごく一部に過ぎないし、まだ他社のメッセンジャーサービスを使っていない人も結構いる。LINEやcomm、カカオトークなどの他社サービスが“万人ウケ”を目指す中、女子中高生向けに特化したサービスを提供すれば、ユーザーを増やせる余地は十分あると思っています」

マーケットは「大きくはない」が……

 同社によると、日本の女子中高生の数は360万人ほど。「マーケットは大きくはないが、女子中高生には時間がある。1人当たりのアクティブ率や利用時間を伸ばし、ページビューを増やせれば、将来的には広告媒体として収益化できるチャンスもある」と藤田さんは話す。

 DECOLINKのダウンロード数6万3000件のうち、会員登録が済んでいるのは2万6800件ほどだが、「会員が増えれば増えるほど、利用してもらえるシーンも増える」という考え。4月には、学校での用途を想定したデコ素材やスタンプを毎日20〜100個ずつ追加していくキャンペーンを実施。新学期を迎えた女子中高生ユーザーの新規獲得を狙う。

 今後、気に入ったメッセージを保護できる機能を追加するほか、女子中高生の間での流行語を順次デコ素材やスタンプ化して提供する予定もある。また、2月に設立した「JCJK総研」とも連携し、女子中高生のニーズを取り込んだサービス開発を加速させていく。

 さらに、スマートフォン向け「Ameba」や、女子中高生を中心に75万ダウンロードを超えるという“ホムペ”作成サービス「Candy」と連携して集客も進めていく。「DECOLINKは、LINEなどの既存サービスと戦うのではなく、女子高生や女子中学生ならこれを使うというものにしていきたい」と藤田さんは意気込んでいる。

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