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PC遠隔操作事件「真犯人」アカウントにログインの朝日・共同記者を書類送検 朝日「承諾されていた」

» 2013年06月25日 18時33分 公開
[ITmedia]

 PC遠隔操作事件で、「真犯人」を名乗る人物からのメールアカウントに朝日新聞と共同通信の記者がログインした問題で、警視庁は6月25日、不正アクセス禁止法違反容疑で朝日新聞の記者3人と共同通信の記者2人を書類送検した。

 朝日新聞は6月25日、「不正アクセス禁止違反の犯罪は成立しないことが明らかと判断した」とする見解を発表した。「『真犯人』は犯行声明メールの中でパスワードを公表しており、メールアカウントへのアクセスを広く承諾していた」ため、不正アクセスには当たらないと主張。ログインは「正当な取材行為」であり、「違法性を欠く」としている。

「真犯人」はログインを「広く承諾」していた?

 朝日新聞によると、昨年「真犯人」が送信した犯行声明メールには「当該メールアカウントの識別符号(パスワード)が記載されていた」ため、記者はこれを使ってログインしたという。

 これについて朝日新聞は、不正アクセス禁止法は「不正アクセス行為」について、「当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く」(2条4項)と、アカウント管理者やパスワードを持つ人の許可を得た場合は除外されることを挙げている。

 同社によると、「真犯人」は「このメールを警察に持っていって照会してもらえば、私が本物の犯人であることの証明になるはず」などと述べていることから、メールアカウントにアクセスされることによって「自分が真犯人であることが証明され、遠隔操作事件で警察から犯人と誤認された人たちの容疑が晴れることを明確に求めていた」という。このことから「識別符号(パスワード)を使ってメールアカウントにアクセスすることを誰に対しても広く承諾していたことが明らか」であり、記者によるログインは不正アクセスの対象から除外されると主張している。

 また、メールアカウントへのログインは、「真犯人」の犯行声明メールが実際にそのメールアカウントから送信されたものかどうかなどを確認するために行った「正当な取材行為」であるため、違法性が阻却されると説明。「報道機関の記者が正当な取材として行った行為は、仮に犯罪の構成要件に該当するとしても、正当な業務行為として違法性を欠き、処罰されないことは判例でも明確に示されている」と、「西山記者事件」の判決を挙げ説明している。

 同社はこの見解について顧問弁護士名の意見書をまとめ、警視庁刑事部に提出したという。

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