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ユーザーは年々倍増、誰でも「キャス主」に ツイキャスが目指すリアルタイムコミュニケーション(1/2 ページ)

» 2013年07月05日 09時30分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 スマートフォン1つでライブ配信するアプリ「ツイキャス」。2010年にサービスを開始し、現在ユーザー数は270万人を突破。プロモーションをほとんど行っていないながら口コミでファンを広げ、日本国内だけでなくブラジルや米国など世界各国にユーザーを抱える。5月には6480万円の資金調達を果たし、今後は事業拡大に注力する。

photo トップページには配信中のライブが並ぶ。「初見さん歓迎」「顔出し」「雑談」などのタグを付けられる

 「ユーザー数は今年度中に400万人を超えるかな、というところ。国外展開も含め、さらに伸ばしていきたい」と話す、運営会社「モイ」の代表取締役・赤松洋介さんに現在の状況や今後の展望について話を聞いた。

ユーザーは年々倍増――「何が起こっているのかよく分からない」

photo 代表取締役・赤松洋介さん

 ツイキャスがサービスをスタートしたのは10年2月。初年のユーザー数は25万人だったが、翌11年には75万人、12年末には200万人と「毎年倍になっている」状況だ。特に12年の秋ごろから一気に加速し、現在は270万人を超えた。新規登録者は月に15〜20万人に上るという。今年度中の400万人超えを見据え、人材や設備の増強を進めている。

 ユーザーの多くは24歳以下で、特に学生が目立つ。実生活での友人同士やTwitterでつながっている人とコメント欄でのやりとりを中心に楽しんでいる人が多い。「MEN'S KNUCKLE」や「CUTiE」など若者向けのファッション雑誌で「身の回りで流行っているもの1位」「読者モデルが夢中なアプリ」として紹介もされた。そんな現状に、赤松さんは「違う世界のようで、何が起こっているのかよく分からない」と笑う。

 学生が多い状況を端的に表すのが「新学期ショック」。4月8日の新学期開始日から数日間、トラフィックが普段の4割程度に落ちた。「新学期で忙しいと、いつもの友達としゃべってる余裕がなくなるんですね」。2週間ほどで元に戻り減少前の数字を上回ったが「計測が壊れたかと焦った、ここまで影響があるとは」

 ツイキャスの特徴の1つは、映像配信や通信環境などが分からなくてもすぐに「キャス主」になれる手軽さ。動画配信を始めるには、配信用アプリをインストールし、Twitterアカウントを利用してログインするだけ。会員登録などは必要なく、ワンタップでライブ中継が始められる。

 開発の際重視したのは「3G回線でも使えること」。「スマートフォンを利用すればどこでも配信できるのに、結局Wi-Fi環境でしか使えないのは本末転倒」。学校の昼休みや旅行中、ツーリングの中継など屋外からの配信も活発だ。

収入は広告と課金が半々

photo 配信画面の下にアイテムの数や延長に必要なコインの数などが表示される

 会社設立から1年だが、すでに黒字を達成しているという。収入はPCサイトへの広告とアイテム課金が同程度。アイテムは、配信時間を延長する「コイン」(50ポイント)や画面にエフェクトを発生させる「拍手」(15ポイント)「クラッカー」(20ポイント)などを用意している。

 最初の30分は誰でも配信でき、延長するには30分につき5コインの“投げ銭”が必要な仕組みだ。ただ「課金しないと楽しめないようはしたくない」ため、ユーザーには毎日100ポイントずつ無料で付与し、それ以上必要な人のみ購入してもらう形にしている。アイテム課金のメニューを拡充していくことは考えていないという。

 ライバルはUstreamとニコニコ生放送。UstreamはBtoBに力を入れており若年ユーザーも少ないため「そこまでバッティングしていない」とみる。ニコ生と比べると、ツイキャスのほうが「感覚としては女性ユーザーが多い気がする」という。友人同士が長電話やSkype感覚で「ダベる」ものも多く、自身のメイクの様子を配信する「メイクキャス」では「最近買ったこれいいですよ」「どこの化粧品使ってますか」など女性同士の会話が発生している。

海外ユーザーの獲得

 アプリとWebサイトが日本語、英語に加えポルトガル語に対応しているように、日本に次いで多いのがブラジルからのアクセス。特にプロモーションしているわけではなく口コミで利用されており、日本の高校生のライブ中継にポルトガル語のコメントが付くケースも。配信数自体は圧倒的に日本人ユーザーが多いが、外国人ユーザーの配信は「母数が大きいのか、瞬発的にアクセスが伸びる」と言う。日本人ユーザーの瞬間最大閲覧者数1位はロンドンブーツ1号2号の田村淳さんによる8281人だが、海外ユーザーの1位は1万9819人だ。

 日本も海外も変わらず、アクセスのピークは夜、特に午後11時半前後。取材時はお昼時だったが、赤松さんからは「そろそろブラジルのピークタイムが終わる時間ですね」という言葉も飛び出した。ブラジルとの時差は12時間あり「インフラ負荷を均等にするためにも海外ユーザーを獲得に力を入れたい」という。

photo 海外ユーザーの瞬間最大閲覧者数ランキング。1位はブラジル、2位は米国のアカウントだ
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