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1億2000万ユーザーが使う口コミサイト「Yelp」日本上陸 CEOが語る“勝算”とは(2/2 ページ)

» 2014年04月09日 11時45分 公開
[本宮学,ITmedia]
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ARで直感的に店を探せるアプリを用意 チェックイン/クーポン機能も搭載

photo スマートフォンアプリ

 2004年のサービス開始時はWebサイトのみの展開だったが、08年にはiOS/Androidアプリを公開。今ではYelp上での検索全体のうちアプリ経由の比率が59%を占めているという。

 モバイルアプリでは、スマートフォン/タブレットでの見やすさを意識したユーザーインタフェースを用意。例えばユーザーが現在地付近の店舗を探す際、端末の位置情報からユーザーと店舗の位置関係を特定し、AR(拡張現実)によって実際の風景に店舗情報を重ねて表示できるようになっている。

 アプリではこのほか、訪れた店舗にYelp上で「チェックイン」できる機能も搭載。ユーザーはチェックイン場所に応じて店舗からのメッセージや「バッジ」、クーポンなどを受け取れる。これらの機能もモバイルユーザーからの支持につながっているという。

「食べログ」「ぐるなび」とも共存できる リアルイベントで差別化も

 「Yelpが他の多くの口コミサイトと違う点の1つは、リアルのコミュニティーを大切にしていることだ」とストップルマンCEO。米国などでは「コミュニティーマネジャー」と呼ぶ専属スタッフを各地域に1人ずつ配置し、ユーザーを集めてカテゴリー別のオフ会などを頻繁に開催しているという。

 日本でも、まず東京と大阪に1人ずつコミュニティーマネジャーを配置する予定。オフラインイベント開催を通じて徐々にユーザー数や口コミ投稿数を増やしていく考えだ。「レビュアーの輪をネット上の友人からリアルの友人へと広げていきたい」とストップルマンCEOは話す。

 日本では「食べログ」「ぐるなび」といったグルメ系口コミサービスが先行しているが、サービス普及に向けて大きな障壁とは考えていないという。「確かに当初はこれらの既存サービスにコンテンツ量ではかなわないが、Yelpも徐々にコンテンツを増やしていく。食べログのような既存サービスとも共存していけるだろう」

日本でもパートナービジネスを展開へ

 Yelpは2012年に米NASDAQに株式公開した上場企業。主な収益源は広告だ。13年の売上高は2億3298万8000ドルと、12年の1億3760万ドルから急伸している。

 また、Yelp上の口コミコンテンツを他社に提供するパートナービジネスも展開している。米国などではAppleの音声エージェント機能「Siri」やトヨタ自動車のカーナビゲーションシステムなどにコンテンツを提供しており、「今後日本でサービス規模が大きくなれば、日本のパートナーとも連携していきたい」とストップルマンCEOは話す。

 ストップルマンCEOによれば、日本はYelpのサービスがうまくいっている米国との共通点も多いという。例えば、(YelpがSEO対策を施している)Google検索の利用率が高いこと、人々の収入水準が高いこと、大都市が多いこと――など。「日本語対応などの準備に時間がかかってしまったが、本当はずいぶん前から日本に進出したかった」と明かす。

 世界で1億2000万ユニークビジターを抱える巨大サービスだが、「公用語にアルファベットを使わない国でのサービス展開」は初めて。「公開直後に大きな変化があるとは思わないが、日本のユーザーから新しい動きが生まれるのが楽しみ。今後はそうした動向を見ながらサービスを成長させていきたい」とストップルマンCEOは話している。

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