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小保方氏の実験ノート、8カ月で4ページ 画像切り貼り、「Science」からも指摘 理研「再調査なし」の理由(2/4 ページ)

» 2014年05月08日 22時39分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 報告書では「加工でFigure1iが真正でなくなった場合、改ざんの範疇にあることは言うまでもない」と反論。小保方氏は、標準DNAサイズマーカーを基準にレーンを切り貼りしたと主張していたが、調査委は「どう縮尺を変えても2つのゲルの標準DNAサイズマーカーすべてを一致させることはできない」と指摘。目視によって見かけ上、レーンを合わせることは可能だが、科学的根拠はなく、「データの真正さを欠くという結論は変わらない」とする。

 この画像について、新たな事実も判明した。小保方氏は、論文1と同じ趣旨の論文を2012年4月にNatureに投稿し、掲載を拒否された後の同年7月、類似の論文をScienceに投稿。同誌の査読者から「異なるゲルから取った画像は、レーンの両脇に白線を入れなさい」と指摘されていたという。

 Scienceに投稿した論文は、小保方氏が調査委への提出を拒否しており、指摘のあった画像がFigure1iと同じ画像かは不明だ。小保方氏は「Science論文は、Natureの論文1と論旨が異なる」「コメントを精査しておらず、具体的内容の認識はない」と主張しているという。

 だが調査委は、「Science論文は論文1とほぼ同旨」と反論。小保方氏がScience論文の改訂論文と思われる論文を用意していたことも判明しており、「査読者のコメントに全く目を通していなかったなどの説明に合理性を認めることはできない」と指摘する。

画像はPowerPointで上書き……ずさんな管理 「ねつ造」判定の背景

 調査委は、論文1に掲載されていたテラトーマ画像が、学位論文の画像に酷似していたことを、「ねつ造」と判断している。小保方氏側は、ミスで画像を取り違えたと説明。真正な画像(画像B)が存在することや、ミスに自ら気づいたことなどをあげ、「単なる画像の掲載違いであり、ねつ造ではない」と主張している。

 調査委は、「ねつ造は、画像が論文に記載されている実験条件下で作成されたか否かで判断される」と反論。論文1の実験条件(酸処理で作成した脾臓由来のSTAP細胞)と、学位論文のそれ(細いピペットを通過させて作った骨髄由来のSTAP細胞)は大きく異なっており、「ねつ造の範疇にあることは明らか」とする。

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