動機は本人もよく分からないのではないか。仕事の給料が安いというようなことも言っていたが、尊敬する父親を早くになくし、同じITの世界に入り、母親と暮らしていたが、横浜CSRFがうまくいったことから少しずつ手を染めていって、誤認逮捕で大きくなった。犯行声明メールは送るつもりはなかったという。途中から思いついたと言っていた。
警察への恨みなどを口にすることはなかった。解離性人格障害という前の事件時の診断だが、刑務所でコミュニケーションをとる必要があり、コミュニケーションがとれるようになったと。前の事件について警察・検察を恨むようないと言っていた。
収監の際、検事は優しい態度で接していた。法定では検察が間違っていると言っていたことについてすいませんでしたと謝っていた。そういうことはいいんだよと検事は言っていたが、そういう意味では素直なところがある。言い逃れをするようなそぶりは全くなく、聞かれたことは答えていた。
複数犯ならその人に演出をさせればいい。少なくとも私は1人でやったと、単独犯だと思う。
雲取山の山頂のUSBメモリは(2012年)12月1日に登った時に埋めたそうだ。小型のスコップがあり、それを携行していた。それで埋めた。(「謹賀新年メール」を受けて警察は元日に捜索したものの見つからなかったが)1月1日にも実際には埋まっていた。1月1日に発見されると思っていたところ発見されなかったので、風などで飛ばされてしまったのかもしれないと思い、「延長戦メール」(13年1月5日)を送った。江ノ島におびき寄せるのではなく、それがたまたま見つかったと。われわれが推理するのを横で見ていた。
江ノ島の猫の写真の問題だが、警察も言っていないが、実際の機材はビデオカメラの「play sport」。縦型に使って横の写真が撮れるのだそうだ。それで撮影したと。だから(警察のリークで)スマホから写真が復元されたという報道があったが、彼は絶対間違ってないと思ったんですね。
1月5日に江ノ島に行った時、防犯カメラのことは全く念頭になかったのだそうです。SDカードが回収され、防犯カメラに写っていたということもあり、これはしまったと思ったと、どう説明しようか考えていたと。その1つに、play sportでは縦位置で横位置の写真が撮れる、スマホを縦に構えているのでは手袋をしている状態では写せないではないか、という理由を考えた。うそをつく場合、最初から全部言うと分かってしまうので、「後から言われてみて気付いた」などとだんだん分かるようにしたのだと。
反省すべき点があるかということだが、片山さんのほうが上回っていたということだ。職業倫理として、やっていないと言った人にはその通り弁護するべきだが、疑問を持ったままの場合もある。この事件では私は無実を信じるといったが、その意味ではだまされたことになる。
当初、防犯カメラで猫に首輪を付けているのが写っていたとされたのは問題だと思ったが、実際にはそういうことはなかった。スマホから写真が復元されたという報道もあった。私はそれはないと思ったが、その読みは合っていた。公判でも決定的証拠は示されなかった。悔し紛れに言っているわけではないが、今回のメールがなければ私は自信をもって無罪を主張していただろう。それが刑事弁護のこわいところかもしれない。
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