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印刷せず、ポストに行かずに請求書発送――名古屋発・クラウド請求書「Misoca」の挑戦(2/3 ページ)

» 2014年06月13日 09時02分 公開
[岡田有花ITmedia]

 請求書の作成から郵送までオンラインで完結するMisocaのサービスを考えついたのは、、起業当初から運営していた、オンラインのイベント管理サービスがきっかけだった。イベントのチケットを郵送する仕組みを検討していたところ、同社のシステムと連携し、印刷・郵送してくれる会社を見つけ、「請求書も送れるのでは」と考えた。

画像 豊吉さん(左)と、共同創業者の松本哲さん

 早速、請求書をオンラインで郵送できるシステムを開発。豊吉さん1人で1カ月ほど使い、2011年11月に公開した。12月に東京で行われた開発者イベントで紹介したところ、1日100人ほどのペースでユーザーが増えていったという。ユーザーの声を聞きながら機能改善を続けており、今でもトップページに「ご意見」ボタンを設置し、届いた声はすべて豊吉さんが目を通している。

 Misocaからの収入は、1通180円の郵送料のみ。赤字が先行しており、受託開発からの収入で開発資金をまかなっていたが、競合サービスが次々に現れる中、Misocaの開発に集中したいと昨年9月、ベンチャーファンドから3000万円の出資を受けた。この資金で開発費用をまかないつつ、今夏スタート予定の決済サービスで収益化を加速させる計画だ。

入金作業の「無駄」も解決 フリーランス同士でカード決済

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 「みんなATMに行って入金作業しているのはおかしいし、無駄だと思う」――企業が取引先に支払いを行う場合、ほとんどが銀行振込だ。オンラインバンキングの普及率は低く、特にフリーランス同士の振り込みは、ATMから手作業で行われているケースが多いという

 夏に開始する決済サービスは、Misocaで作成した請求書をメール送信すれば、受け取ったユーザーがクレジットカードで請求額を振り込める仕組みだ。手数料は3%程度になる見通し。5年後に1兆円の決済が目標だ。

ベンチャー起業、東京と名古屋は「次元が3つぐらい違う」

 豊吉社長は岐阜県出身。2004年に岐阜工業高等専門学校を卒業し、名古屋でフリーランスとして働いた後、11年に起業した。出身地に近い名古屋で、「地元のエンジニア仲間とともに世界をあっと言わせたい」と起業したが、東京と名古屋では、ITベンチャーをとりまく環境に大きな格差を感じたという。

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