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YRPユビキタス・ネットワーク研究所とマイクロソフト、オープンデータを蓄積・活用する基盤開発で提携

» 2014年07月07日 18時14分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 YRPユビキタス・ネットワーク研究所(YRP UNL、所長:坂村健 東京大学教授)と日本マイクロソフトは7月7日、オープンデータの活用促進で提携すると発表した。行政や公共交通機関が公開するオープンデータを蓄積し、サービスやアプリ開発に役立てるプラットフォーム作りを共同で進めるほか、政府や自治体によるデータの公開や社会実験の実施を支援する。

photo 提携の内容

 YRP UNLは、ユビキタスコンピューティング専門の研究機関。今回の提携のキーになるのが、同研究所が開発する、国や企業を限定しない国際標準規格の識別番号「ucode」だ。専用マーカーを物や場所に取り付けると、Bluetooth LEを使って読み取りの手間なくスマートフォン/タブレットなどに指定のIDを送信。デバイスからサーバ上のデータベースにアクセスし、IDに応じた情報を引き出せる。

photo Windowsタブレットによるデモ。左のセンサーから電波を受信し、場所に応じた情報が配信される。デバイス上で言語も選択可能

 提携により、ucodeの固有IDと情報を結びつけるシステムをマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で運用する。オープンデータ/ビッグデータの蓄積から統合、新たなサービスの提供まで、関連情報を一元的に扱うプラットフォームを構築。政府や自治体、企業による社会実験や事業を共同で支援していく考えだ。

 政府のオープンデータカタログのミラーサイト運営や、関東圏の鉄道各社と協力する公共交通のオープンデータのポータルなど、すでに関わっているオープンデータプロジェクトを含め、活用を推進していく。43言語に対応するBingのリアルタイム翻訳と連動し、外国人観光客のスマートフォンに今いる場所に応じた情報が届くサービスなどを構想しているという。

photo 坂村健 東京大学教授

 所長としてYRP UNLを率いる坂村健 東京大学教授は「便利に使える技術、可能性のあるシステムはただはあるだけでは意味がない。データをマッシュアップができる基盤が必要」と提携の意図について話す。すでに国内で数千万個発行されているというucodeの利用をより広げていくことで、第三者が横断的に利用できるデータを増やし、生活を便利にするツールの開発に役立ててほしいと期待する。

 日本マイクロソフトの織田浩義常務は提携の意義について(1)オープンデータ、ビッグデータの活用促進、(2)IoT(Internet of Things:モノのインターネット)分野での技術協力と共同事業――の2点を押し出す。行政による積極的なオープンデータ活用は世界的にムーブメントとなっており、各国の例も見ながら「グローバル企業である強みを生かし、部分的にでも世界標準システムになるよう取り組んでいきたい」と話している。

photo 坂村教授(中央)、日本マイクロソフト加治佐俊一CTO(左)、織田浩義常務

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