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「我々は明確に加害者」 ベネッセ原田社長が改めて謝罪 再発防止策と補償について説明

» 2014年07月17日 20時32分 公開
[山崎春奈 ,ITmedia]

 ベネッセホールディングス(ベネッセHD)は7月17日、傘下のベネッセコーポレーションから大量の個人情報が流出した件で、関連会社の業務委託先SEの逮捕を受け、経緯や再発防止策を説明した。ベネッセHDの原田泳幸会長兼社長は「深くお詫びするとともに、1日も早い信頼回復に務めたい」と謝罪した。

photo 謝罪するベネッセコーポレーション小林社長(左)とベネッセHD原田会長兼社長

 不正競争防止法違反(営業秘密の複製)で警視庁に逮捕されたSEの男(39)は、ベネッセグループの情報処理子会社「シンフォーム」が業務委託していた企業の元社員。同企業は関連業務に2012年4月から関わっており、男は開発の中心的な役割を担うベテランで、シンフォーム東京支社の多摩事業所(多摩市)でデータベースの開発・保守に従事していた。

 業務委託先のSEが顧客データベースに直接アクセスできる権限を持っていたことについては「システムの運用体制の見直しも必要だが、責任感や倫理観の共有が足りていなかったことも大きな問題」と考えているという。

 判明している約760万件以外の別ルートの流出の可能性は「現在のところ確認していない」(ベネッセコーポレーションの小林仁社長)。問い合わせは現在までに5万件ほど寄せられており、サービス解約の希望も数千件規模に上っているという。

「ご迷惑とご心配をかけている加害者であることは明確」

 原田会長は記者会見で、「顧客に子どもが多く、特にデリケート機密情報を抱えている企業として、事の重大さは十分に認識しており、改めて深くお詫びするとともに信頼回復に全力で務めたい。お客様の声を真摯に受け止め、2次被害を防ぐためあらゆる手段を持って全力を尽くす」と謝罪した。

 購入したデータを削除したジャストシステムを批判したこともあったが、「お客様にご迷惑とご心配をかけている加害者であることは明確」と認め、情報管理体制の見直しや、社員や関係各社のスタッフも含めた意識改革などに取り組んでいく考えを示した。

 再発防止策として、弁護士や外部の専門家を交えた「個人情報漏えい事故調査委員会」を原田会長兼社長付けの諮問機関として15日に発足。事実関係を解明し、警察の捜査にも積極的に協力する。

 顧客への対応としては、(1)「お客様本部」(仮称)の発足、(2)金銭的補償――の2つを進める。「お客様本部」は不審なDMや電話あった場合に情報提供する窓口として開設し、不正に取得した名簿が使われていることが分かった場合は、発信者に対し利用停止と提出を呼びかける。今後ベネッセコーポレーションから送る全ての郵便物には、同意を得て取得した情報を利用していることを封筒に明記する。

photo 原田泳幸会長

 金銭補償の原資として200億円を準備し、お詫びの品や金券で対応する予定。流出人数の規模が確定次第、過去の類似案件も勘案して保障の内容は決めるという。

 経営陣の責任を問われると「まずは原因の徹底究明と真摯なお客様対応で信頼回復に取り組むことが最優先。6月に就任したばかりで過去の事案ではあるものの、今後の対応は私の責任」(原田会長)とした。

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