「STARted」はあくまでブランド立ち上げのためのサービスであって、服作りを請け負うわけではないのもポイント。ユーザー登録の際は商品のデザイン画を登録する前にブランドコンセプトやキャッチコピー、始めるきっかけなどを記入する必要がある。「良いものが安く手に入る」が当たり前の時代だからこそ、作り手の背景やストーリーを明確にすることがファッションの新しい選び方、楽しみ方に結びつくのではという思いだ。
制作の標準コースは10万円。シンプルな料金体系にするため、パターン起こしから生地選び、生産までを一括で請け負う代わりに、売値や生産着数はサービス側が決定する。「もらったお金で作れるだけ作る」(藤井社長)ため、Tシャツであれば数十枚、複雑なワンピースやコートなどであれば数着など、商品に応じて生産・販売枚数が変わり、売価はミドルクラスのデザイナーズ・ブランドと同程度の数万円ほど。制作者には売り上げの半分が支払われ、完売時には初期費用の2〜3割程度が利益になる計算だという。
春にサービスを発表後、メディアにも多く取り上げられ反響は大きい。事前登録ユーザーは数千人に上り、その多くが20〜30代の女性。ブランドのテイストや作りたいアイテムもさまざまで「子どものころからの夢がかないそう」など熱い期待の声が寄せられているという。
現在は先行登録ユーザー向けのクローズドβ版のみだが、近日中に正式オープンし、ブランド登録の受け付けや商品の販売を始める予定。サンプル作成、修正などを含めてデザインから製品になるまでは2カ月程度必要なため、一般ユーザーによるブランドが並ぶのは秋ごろになる予定だ。
まずは1万ブランドの開設が目標。「女子高生と主婦と元パリコレデザイナーがブランドオーナーとして並んでるの、想像するだけで楽しくないですか?」(藤井社長)
同人作家がプロの漫画家や小説家としてデビューするように、ストリートミュージシャンやボカロPがメジャー音楽の世界で活躍するように、ファッションにも何かやりたい人、“野生のプロ”が集まる場所があれば――。「正直言って全然儲かりませんよ! だからこれまで誰もやってなかったんだと思います。なら仕方ない、僕らがやるしか、という感じ。ファッションにおける『ニコニコ動画』や『pixiv』のようなコミュニティーになれば」(藤井社長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR