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Androidプラットフォーム、開発者還元が年間50億ドル突破 国内開発者は2年前の2.5倍に 日本発世界的ヒットに期待

» 2014年09月22日 16時56分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 「東京ゲームショウ2014」(千葉・幕張メッセ、9月18〜21日)にGoogleが初めて出展し、Androidプラットフォームを取り巻く現状についてGoogle Play アジア太平洋地域ディレクターのクリス・ヤーガ氏が講演した。ユーザー数は10億人を超え、開発者への年間還元額も前年比2.5倍の50億ドルを突破するなど成長。日本から世界に通用するゲームの登場も期待する。

photo 開発者への支払いは年額50億ドルを突破

 同イベント全体でのiOS/Android関連の出展タイトル数がそれぞれ昨年の約2倍になるなど、ゲームプラットフォームとしての存在感を増すスマートフォンやタブレット。ヤーガ氏は「業界全体で利用デバイスもユーザーも根本的に変わりつつあり、今後さらに変革と成長は続いていく」と、同社が今年初出展した狙いを話す。

 Androidプラットフォームの強みとして(1)190カ国10億人以上という世界最大のデジタルコンテンツマーケット、(2)マルチデバイス向けにシームレスに提供できること、(3)外部パートナーによる連携ハードウェアやデバイスの進化――を挙げる。

photo 「Android TV」のデモ。ゲームを大画面で楽しめる

 グローバルにコンテンツを提供できる強みは、マネタイズのしやすさだ。開発者への還元額は、昨年6月から今年6月までの1年間で前年比2.5倍の50億ドルを超えたという。クレジットカードやギフトカードなど支払い方法を増やしたり、広告掲載やサブスクリプションの書き方の成功ケースをシェアするなど、積極的にマネタイズの方法を提案している。

 OS自体の技術向上も著しい。グラフィックやCG、音声などのクオリティが上がったことで本格的なRPG作品も増えており、これまで据え置き機でゲームをしていなかったユーザーも引き込めているのでは――とヤーガ氏は話す。「Android TV」を使って大画面に同期、ウェアラブルデバイスを補助的に活用など、同じゲームをマルチスクリーンで楽しめる環境も整えていきたいと展望を語る。

photo Google Play アジア太平洋地域ディレクター クリス・ヤーガ氏

 日本国内だけで見ても、スマホ普及率は5割に迫っており、デベロッパー登録者数も2年前の2.5倍に成長。米国で売り上げトップ30のゲームアプリのうち、5つがアジアや日本発だった事例を示し、「文化の壁があるからといって必ずしも成功しにくいということはない。もちろんマーケットによって傾向は異なるが、これまでの事例やノウハウもたまってきている。調整や修正を加えることで世界に通用するゲームがさらに増える可能性は大きい」(ヤーガ氏)と日本の開発者のさらなる発展にも期待を寄せる。

 講演ではゲストとしてミクシィの森田仁基社長が登場。1300万ダウンロードを超える大ヒットを記録している「モンスターストライク」の開発秘話を披露した。SNS「mixi」で培ったコミュニティー運営のノウハウを生かし、友達同士のフェイス・トゥ・フェイスコミュニケーションを促進できること、誰でも簡単な動作で遊べることを意識して開発したという。

photo ミクシィ森田仁基社長(左)がゲスト登壇

 森田社長がGoogle Playの良さとしてあげるのは、やはり世界市場とのつながり。現地パブリッシャーを通さず自社で直接展開する形で、すでに台湾版の配信が始まっており、10月中に北米、年内には韓国でスタートする予定だ。ユーザー動向やエンゲージメントを把握する「Google Play Game Services」などの開発者ツールが充実しており、生のデータを参照できることは新たな市場開拓の際に大きな武器になるという。現在の売り上げはGoogle Play(Android)の方がApp Store(iOS)より多いそうだ。

 「モバイルゲーム開発は比較的参入コストが低く、若い会社でも急成長のチャンスがある分野。市場全体が大きくなっていることはもちろん、ユーザーもデベロッパーも常に新たに流入しているのが注目度の高い理由だと思う。プラットフォームとして開発者を支援することでさらに盛り上げていきたい」(ヤーガ氏)

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