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Spotify、レーベルには20億ドル以上支払った──テイラー・スウィフトの楽曲引き上げにコメント

» 2014年11月12日 11時17分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 4大レーベルの音楽を提供するスウェーデンのストリーミングサービスSpotifyのダニエル・エクCEOは11月11日(現地時間)、人気アーティストのテイラー・スウィフトが同サービスから全楽曲を引き上げたことに関し、「Spotifyはアーティストの味方だ」と主張する長文のブログを公開した。

 テイラー・スウィフトは11月3日、最新アルバム「1989」を含む全楽曲をSpotifyから引き上げた。同氏は7月、Wall Street Journalへの寄稿で「音楽は芸術であり、価値がある。音楽は無料であるべきではない」と主張していた。

 spotify 1 テイラー・スウィフトの「1989」は発売の週にBillboard 200アルバムチャートで1位を獲得した

 エクCEOはブログの冒頭でまず、「テイラー・スウィフトは完全に正しい。音楽は芸術であり、アーティストは対価を支払われるべきだ」とし、「われわれは海賊行為からアーティストを守り、音楽ファンとアーティストを結び付けるために存在している」と語った。

 Spotifyのサービスには、年額120ドルのサブスクリプション制の有料サービスと音声広告ベースの無料サービスの2種類がある。Spotifyによると、月間アクティブユーザー数は5000万人で、そのうち1250万人が有料会員だ。

 spotify 2

 エク氏は、Spotifyは音楽が無料だなどと考えておらず、スウィフトを含む人気アーティストには年額600万ドル以上の著作権使用料を支払っていると述べた。同社は2008年の立ち上げ以来、累計20億ドルを音楽レーベル、音楽出版社、著作権管理会社に支払ったという。「もしその20億ドルが(アーティストなどの)クリエイティブな人々に流れていないとすれば、それは大きな問題だ。透明性強化のために、業界と協力していく用意がある」とも語った。

 「テイラー・スウィフトの「1989」はリリースの週に120万枚を販売する記録的なヒットとなった。(中略)かつてはこうしたヒットが毎年複数あった。だが、そんなことはもう起こらない。人々が音楽を聴く習慣が変わり、元に戻ることはない。(中略)テイラーがSpotifyから楽曲を引き上げても、人々はYouTubeやSoundcloudで無料で彼女の楽曲を聴くのだ。(P2Pサイトの)Pirate Bayの先週のトップは1989だった」(エクCEO)

 同氏はまた、Spotifyの有料会員の多くが最初は無料会員としてサインアップしており、無料サービスは有料サービス拡大で重要な役割を果たしていると説明した。「サービスが拡大するにつれ、アーティストへの支払いも増える。(中略)われわれは音楽ファンに再び音楽の対価を支払わせている。(中略)われわれはただのストリーミングサービスではなく、今や“メイン”ストリーミングサービスであり、これは世界中の音楽メーカーと音楽愛好家の双方にとって良いことだ」としている。

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