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「照明業界のApple」に――名古屋発“ダサくないLED電球”「Siphon」が目指すもの新連載・クラウドファンディング「成立」のその後(3/3 ページ)

» 2014年11月21日 09時00分 公開
[坊垣佳奈(Makuake),ITmedia]
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照明業界の「Apple」のような存在に

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 Siphonはネット上で資金調達プロジェクトが話題になったのをきっかけに、すでに小売店やデザイン事務所、ホテル、飲食店などから多くの問い合わせを受けているという。その多くは「いつ発売されるのか」「いくらで買えるのか」――など、「Siphonを扱いたい」という内容とのことだ。

 戸谷さんは今後の展望として「まだまだSiphonを知らない全国のカフェなどの店舗オーナーにも使ってほしい」と話す。まずは店舗の設計事務所にアプローチするため、2014〜2015年に開かれる建築業界向け展示会にSiphonを出展する予定だ。

 また今後、さまざまなLEDライト商品が生まれていく中で「Siphonを一目置かれるブランド、照明業界における『Apple』のような存在にしたい」と戸谷さんは語る。センスも性能もよく、さらに安心して使ってもらえるようなブランドを目指したいという。

クラウドファンディングは「アイデアとターゲットを結びつけてくれるもの」

 戸谷さんは今後、他の新商品開発でもクラウドファンディングに挑戦していく考えだ。

 「クラウドファンディングは、インターネットを通じて全国の“ターゲット”とアイデアを結びつけてくれるありがたいサービス。小さい企業だからこそ入り込む余地のあるきめ細かいニーズをとらえたアイデアが、クラウドファンディングを通してニーズを持つ人につながり、それが大きなチャンスを生む可能性を秘めている」(戸谷さん)

photo 実際に送ったはがき

 クラウドファンディングを成功させるための秘けつは「製品をどんな人が欲しているかを深く考え抜き、実際の行動に移すこと」と話す。戸谷さんは今回のプロジェクト開始後、全国のカフェの設計事務所にプロジェクト内容やURL、検索ワードなどを記したはがきを約500枚送り、このはがきをきっかけに支援してくれた人も多いという。

 「クラウドファンディングは、例えば町工場などで『いいアイデアを持っているが、どうやって世の中に出していけばよいか』と悩んでいる人に向くのでは」と戸谷さん。名古屋のカーアクセサリーメーカーが実現しつつある“イノベーション”に続き、クラウドファンディングを使ったユニークな商品開発は今後もますます増えていきそうだ。

著者プロフィール

坊垣佳奈(ぼうがき・かな)

クラウドファンディングサイト「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディングで取締役を務めている。


Makuakeとは?

2013年8月にオープンしたクラウドファンディングプラットフォーム。2014年11月時点までに300件以上のプロジェクトが実施され、1つのプロジェクトで100万円を超える大型資金調達に成功するケースも複数登場している。


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