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ソニー、スマホはモデル数絞り込み・高付加価値モデル集中 Xperia継続購買率向上に取り組む

» 2014年11月25日 15時37分 公開
[ITmedia]
photo ハイエンドAndroidスマートフォン「Xperia Z3」

 ソニーモバイルコミュニケーションズの十時裕樹社長は11月25日、モバイル事業の今後の計画を発表し、モデル数の削減とハイエンドモデルへの集中を改めて説明した。構造改革も進め、ハイエンドモデルに集中しながら2016年度以降に安定的に収益を確保できる体制構築を急ぎ、「次のチャレンジ」にリスクを取れる体制を整えるとしている。

 ソニーは今期、モバイル事業の不振を受けて営業権の減損を迫られ、最終損益が2300億円の赤字になる見通し。鈴木国正前社長は事実上更迭される形となり、十時社長は11月16日に就任したばかりだ。

 不振は、Xiaomi(小米)に代表される中国スマートフォンメーカーの台頭などを受け、低・中価格帯モデルで東南アジア、中国、欧州を中心に販売計画を大幅に見直したのが要因。減損や構造改革費用の計上もあり、モバイル事業は今期1兆3500億円の売上高に対し2040億円の営業赤字になる見通しだ。

 今後はソニーの技術を結集した高付加価値モデルに集中し、普及モデルは絞り込む考えだ。高価格帯モデル(出荷価格3万円以上)は2017年度に台数ベースで22%と少数派だが、金額ベースでは55%と過半を占めると予想する。ただ、メーカーが独自に展開するオープン市場では低価格帯が成長する一方、携帯キャリアが販売するオペレータ市場では高価格帯の伸びは限定的と見ており、その意味では「もはや成熟市場」(十時社長)だ。

 「さまざまな商品がデジタル化・コモディティ化する中で、ハイエンド帯に集中したら“ハイエンド”がなくなっていたというのはよくある現象だった」。高付加価値モデルへの集中が“第2のVAIO”に続く道だと懸念する声に、十時社長は「失敗から学ぶことは重要」という。「チャレンジするにはある程度リスクにたえうる会社の構造が必要」。高付加価値モデルへの集中と構造改革で16年度以降、安定的に収益を見込める体制を構築し、その上でスマホの“次”のムーブメントへ備えるという腹づもりだ。

photo 投資家・アナリスト向け説明会資料より

 端末のモデル数は今後絞り込むほか、Xperiaのユーザーが買い替え時もXperiaを選ぶよう、継続購買率を高めるマーケティングを展開し、広告宣伝費の費用対効果を高めていく。14年の継続購買率は35%だが、2017年には「優れた他社」と同等の50%に高めたい考えだ。

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 今期の販売台数は4100万台を見込むが、今後はそれより少なくなることも想定しているという。この日、ゲーム事業などソニーのエレクトロニクス各分野は2017年度の数値目標を公表したが、モバイル事業は構造改革などを踏まえ改めて明らかにするとしてう。

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