論文データの疑惑も調査し、新たに2つのねつ造を認定した。1つは、STAP細胞などの増殖率を測定したグラフで、小保方氏は細胞の数を正確に数えていなかった上、測定日が小保方氏の出勤記録と一致せず、ねつ造と判断した。
また、DNAメチル化実験の結果を示した図は、元データと一致せず、小保方氏にただしたところ、「元データを(おそらく若山氏に)見せたところ、このデータでは論文に使えないと言われたため、意識的に操作した」と認めたという。
論文のデータにはこのほかにも多数の疑義が指摘されていたが、調査委員会が求めた実験データを小保方氏がほとんど提出せず、実験ノートにも記載がないなど証拠が不十分なものが多く、ねつ造や改ざんなどの研究不正を認定できなかった。
元データを失うと不正が認められないのは理不尽ではないかという記者からの指摘に対して理研の川合真紀研究理事は「こんな理不尽な話はないとわたしも思っている」と同意。理研の新たな規定では、研究室に対して、元データを4年間保持するよう求めているという。
誰が何の目的でES細胞を混入させたのか――謎は残ったが、理研はSTAP細胞をめぐる一連の調査を終了する。「できる限りの調査を行い、可能なことはやり尽くしたと理解している。これ以上の調査はやるつもりはない」と有信睦弘コンプライアンス担当理事は話す。
STAP幹細胞株の解析がもっと早く行われ、ES細胞由来と分かっていれば、STAP現象の再現実験も不要だったのではという指摘も相次いだが、川合理事は、「(再現実験の実施を決めた)4月の時点で、(STAP幹細胞株の解析から)これだけの実証が可能だとは予測できなかった。分析はたいへん困難と聞いていた」などと釈明した。
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