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ロボット大国日本、“お家芸”に競争力を――DMM、新事業「DMM.make ROBOTS」スタート

» 2015年01月27日 16時20分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 DMM.comは1月27日、ロボット関連事業「DMM.make ROBOTS」をスタートした。ロボットに関わるメーカーやスタートアップ、テクノロジー企業の連携を促進し、ロボットの普及につなげる役割を担う狙いで、携帯電話のキャリアになぞらえて「ロボットキャリア」というポジションだ。まず家庭用ロボットのEC販売プラットフォームやクラウドによる人工知能の提供を開始、産業全体の競争力向上を図っていくという。

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 DMM.make ROBOTSは「携帯電話キャリアのようなポジション」(ロボット事業部 岡本康広事業部長)で、プロモーションや販売代理を一元的に展開。コミュニケーションロボットやホビーロボットのメーカー、データマイニングや言語処理、画像認識技術などを持つ関連企業、オリジナルロボットの開発を目指すベンチャーなどを集結させる構想だ。

photo ビジネスフローモデル

 まず5社とアライアンスを組み、家庭用ロボットのEC販売プラットフォームを構築。富士ソフト「Palmi」(29万8000円)、ユカイ工学「BOCCO」(2万9000円)、プレンプロジェクト「PLEN.D」(16万8000円)、ロボットゆうえんち「プリメイド AI」(9万9000円)を5月から順次公式サイトで発売していく(いずれも税別)。

photo Palmi
photo BOCCO

photo PLEN.D
photo プリメイド AI

photo Robi

 特別タイアップとして、デアゴスティーニ・ジャパンから組み立て済みの「Robi」が登場。通常は「週刊ロビ」を毎号購入して組み立てていく必要があるが、「すぐに遊びたい」というユーザーからの要望に応えて発売する。

 開発者向け支援として、ロボット自身がインターネットとつながり、データ取得や解析を行うIoT(Internet of Things)環境を前提に、クラウドで音声/行動解析を行い学習していく人工知能プラットフォーム「DMMロボティクスクラウド」をロボットの頭脳部分として提供。東京・秋葉原に構える「DMM.Make AKIBA」も活用し、ハードウェア開発の面でも支援する。

「このままでは海外に追いつかれる」

 ロボット産業は製造業の現場や産業用だけでなく、サービスやコミュニケーション分野でも市場拡大が予測されている。だが国内ではロボット販売会社はほぼ存在せず、メーカー側の連携も弱いのが現状だ。DMMは国内ロボット産業の課題として(1)開発者の事業化意識の欠如、(2)産業技術のガラパゴス化――の2点を挙げる。

 「Robi」などを手がけるロボットクリエイターの高橋智隆さんも「ロボット開発は日本のお家芸とされてきたが、このままでは海外メーカーに追いつかれるのは時間の問題。今世界で何が起きているかを把握し、開発者自身の興味だけでなく、知見や技術を共有しながら、ビジネスを見据えた展開を一丸となって進めていくことが必要」と今回の試みに期待する。

 ロボット販売プラットフォームとしての認知を高めるとともに、ベンダーコミュニティーとしての発展や、産業用ロボット技術の一般販売、海外製ロボットのローカライズ、国内製品のグローバル展開促進などを視野に入れる。2015年の年間売り上げ目標は30億円、2017年には100億円を目指す。

 DMM.comの松栄立也社長は「『DMM.make AKIBA』を富士ソフトビル内に開設することが決まった時、ロボットを見せてもらったのがこの事業をスタートするきっかけ。正直脈絡はないが、デジタルコンテンツを中心提供してきた我々にとって、リアルな世界に展開していくのはチャレンジングなこと。ソフトウェアだけでなく、ものづくりの世界に携わる人がもっと増えるよう、グローバル展開を見据えて盛り上げていきたい」と話している。

photo 松栄立也社長(前列左から3番目)はじめ各ロボット開発者と登壇者

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