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重力レンズで超新星が4つに見える ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

» 2015年03月09日 16時49分 公開
[ITmedia]

 重力によって光が曲げられる「重力レンズ」効果により、1つの超新星が4つに輝いて見える様子をハッブル宇宙望遠鏡がとらえた。ダークマター(暗黒物質)の量を算出する手がかりになるという。

photo NASA/ESA/STScI/UCLA

 撮影されたのは「MACS J1149.6+2223」と呼ばれる50億光年離れた銀河団。ある銀河のふちに4つの光が見えるが、これはこの銀河の背後で起きた1つの超新星爆発のもので、銀河と銀河団の強力な重力によって光が曲げられたことで輝いている。

 こうした現象は光学レンズによる効果になぞらえ「重力レンズ」と呼ぶ。科学者によると、この超新星爆発は20年ほど前に1つの光として見えていた可能性があり、また10年程度後にも1つの超新星として見えるかもしれないという。銀河と銀河団の重力で超新星の光がさまざまなルートをたどっているためだ。

photo 多くの銀河が写っている NASA/ESA/STScI/UCLA

 重力レンズの存在は一般相対論から予言され、銀河の重力レンズ効果で4つに分裂してみえるクエーサーは「アインシュタインの十字架」と呼ばれている。超新星爆発で4つの像が見つかるのは初めてで、直接観察されないが銀河団の質量の多くを占めると考えられるダークマターを見積もる手がかりになるという。

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