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SFでおなじみ「くじら座タウ星」、生命の存在はあまり期待できない 米研究

» 2015年04月23日 12時59分 公開
[ITmedia]

 数々のSF作品に人類の移住先などとして登場する「くじら座タウ星」(タウ・ケチ)だが、生命の存在はあまり期待できない──米アリゾナ州立大学の研究チームがこんな残念な研究結果を発表した。

photo タウ・ケチ星系のイメージ Credit: J. Pinfield for the RoPACS network at the University of Hertfordshire, 2012

 タウ・ケチは11.9光年離れた“ご近所”の恒星。太陽より小さいがスペクトル型はよく似ている(G型主系列星)といったこともあり、「スター・トレック」やハインラインなどの作品のほか、日本でも漫画「2001夜物語」、小説「ミニスカ宇宙海賊」など数々の作品で舞台として登場。地球外知的生命探査(SETI)のオズマ計画でも対象に選ばれた。

 2012年には5つの惑星が見つかった。そのうち「e」と「f」という2つの惑星は、生命が存在しうる「ハビタブルゾーン」にあると推定された。

 天文学者と地質学者による同大チームは、タウ・ケチについて判明している化学的組成から星の進化モデルを作成し、惑星とハビタブルゾーンの推定を試みた。

 その結果、確かに惑星eと惑星fはハビタブルゾーン内にありうるとされた。が、惑星eは「かなり甘い見積もりであれば」という程度。惑星fはハビタブルゾーンに「最近」入ったようだという。「最近」といっても10億年以前にさかのぼるが、地球が有望と言える程度に大気が変化するまで20億年かかったことを考えると、十分とは言えないという。

 これらを踏まえ、研究チームはタウ・ケチを「地球外生命が見つかりそうな有望な星」には含まれないと判断した。「残念な結果かもしれないが、広大な宇宙にはまだ多くの惑星が見つかるだろう」と研究者は述べている。

 研究成果は専門誌「Astrophysical Journal」に掲載された

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