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銀河帝国は見つからなかった、が──銀河10万個、米研究チームが探索

» 2015年04月15日 12時22分 公開
[ITmedia]

 10万個の銀河を調べたが、銀河全体に広がるような高度に発達した文明、いわば“銀河帝国”のしるしは見つからなかった──米ペンシルベニア州立大学の研究チームがこんな研究結果を発表した。だが約50個の銀河については有望なデータがあるとして、さらに調べるという。

photo 中赤外線で見たアンドロメダ銀河(M31)の疑似カラー写真。オレンジ色は、銀河の渦状肢で星が生まれる現場の熱放射を示している NASA/JPL-Caltech/WISE Team

 研究は「もし高度に発達した文明によって銀河全体に植民が行われていれば、コンピュータや宇宙飛行、コミュニケーションやわれわれが想像もできないもの──が作り出すエネルギーは中赤外線で判別できるだろう」──というアイデアに基づき、米航空宇宙局(NASA)の赤外線探査衛星「WISE」による銀河のカタログを調査。有望な10万個の銀河について調べたが、はっきりしとした文明のしるしは確認できなかったという。

 だが約50個の銀河について、普通ではない高レベルの中赤外線放射が見つかった。「今後の研究で、これが天文学的現象なのか、高度に発達した文明の存在を示しうるものと言えるのかを明らかにできるかもしれない」と研究者は述べている。

 10万個規模の銀河を地球外文明の探索という観点から調べた研究は例がなく、明確なしるしが見つからなかったことはそれはそれで興味深いという。「これらの銀河は誕生から数十億年が経っており、銀河全体に宇宙人が広がるには十分な時間がある。ということは、宇宙人は存在しないか、われわれが分かる程度のエネルギーをまだ発していないかのどちらかということになる」。

 「ダイソン球」の考案で知られる理論物理学者のフリーマン・ダイソンも、地球外文明は中赤外線で判別できるだろうと述べている。研究者は、文明が発する中赤外線を天文学的現象から見分けるには細心の注意が必要になるだろうと考えており、「研究はまだ始まったばかり」だとしている。

 研究は同大の「太陽系外惑星・生命居住可能領域センター」が実施し、結果は「Astrophysical Journal」(4月15日付け)に掲載される。

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