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フラッシュメモリのエラー確率利用、データを指定時点で自動破壊 新メモリシステムを中央大が開発

» 2015年06月18日 13時11分 公開
[ITmedia]

 データの寿命をあらかじめ設定し、その時点で自動的にデータが壊れるメモリシステムを、中央大学理工学部の研究グループが開発した。記憶媒体にフラッシュメモリを採用したシステムで、SNSに使えばプライバシー保護のための「忘れられる権利」を実現するとしている。

 新システム「Privacy-protection Solid-State Storage(PP-SSS)System」は、フラッシュメモリに保存されたデータを、ユーザーが決めた時点で自動的に壊し再現不能にする仕組み。中央大理工学部の竹内健教授のグループが開発した。

 フラッシュメモリのエラー確率が高い精度で予測できる特徴を利用し、データをメモリに書き込む時点で、寿命に応じた所定の数のエラーを意図的に注入。指定した時点でデータを壊し、誤りが訂正できないようにする。データを意図的に誤るように制御する仕組みのため、メモリデバイス自体は物理的には破損しておらず、再利用も可能という。

 HDDや磁気テープ、DVDなど機械部品を使った従来の記憶媒体では、機械部分の疲労や破壊の予測が難しいため、データの寿命の予測や制御は困難だった。半導体製品のフラッシュメモリなら、リーク電流によるデータ破壊の予測が可能なため、データ寿命を自在に制御できるという。新システムを通じ、半導体メモリの新市場開拓も期待できるとしている。

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