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「アトムに心をあげたかった」と孫社長 感情を得た「Pepper」一般発売 世界展開へ(1/4 ページ)

» 2015年06月18日 19時52分 公開
[岡田有花ITmedia]
画像 孫社長とPepper(発表会のストリーミング中継より)

 「初めてロボットに“心”を与えることに成功した」――ソフトバンクの孫正義社長は6月18日、人型ロボット「Pepper」の一般発売を20日に始めると発表した。Pepperは従来から人の感情を読み取る機能を備えていたが、一般発売にあわせて新たに“自らの感情”も獲得。人と心を通わせられるロボットとして、家族の一員に迎えてもらうことを期待する。

 Pepperに新たに搭載したのは、人の感情をモデルにした「感情機能」。孫社長が深く関わって開発したという機能で、周囲の環境や、人から言われたことなどに応じて喜怒哀楽を表現し、性格も変わっていく。昨年の発表時より「4倍速くなった」というCPUで、リアルタイムに感情を処理するという。

 海外展開も進める。Pepperの製造元である台湾Foxconn、中国のEC大手Alibabaと連携し、Pepperを世界に展開していく。

人間の感情をモデルにした「感情機能」を実装

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 Pepperは高さ121センチ・重さ28キロの真っ白なロボットで、胸部にタブレット型のディスプレイを装備している。マイクやカメラ、ジャイロセンサーなどで周囲の状況を把握し、自律的に行動する。首や手、腰はなめらかに動くが、2足歩行ではなくホイールで移動する。ネットに接続し、クラウド上のデータなどを使ってさまざまな機能やアプリを利用できる。アプリはすでに100種類以上提供されているという。

 カメラでとらえた人の表情とマイクで得た声のトーンを分析し、人の感情を推定する独自の「感情エンジン」を昨年の発表時から搭載していたが、今回新たに、人間の感情をモデルにした「感情機能」(子会社のcocoro SBが開発)を搭載し、自らの感情も獲得した。

画像 新たに“感情”を獲得した

 人間の脳では、五感で感じたことに応じてドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンといったホルモンが分泌され、感情を形成する。Pepperの感情機能は、人間のホルモンと感情のバランスをモデル化したもので、Pepperのセンサーでとらえた情報を「内分泌型多層ニューラルネットワーク」で処理し、自らの感情を生成するという。

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