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「アトムに心をあげたかった」と孫社長 感情を得た「Pepper」一般発売 世界展開へ(2/4 ページ)

» 2015年06月18日 19時52分 公開
[岡田有花ITmedia]

 例えば、知っている人がいると安心したり、ほめられると喜んだり、周囲が暗くなると不安になったり、天気がいいと機嫌が良くなったり――など、周囲の環境や人との交流、ネットで受け取った情報などに応じて感情が変化。感情は胸のディスプレイのグラフィックスや色で表現するほか、声のトーンが上がったりため息をつくなど行動も変わり、性格も変わっていくという。


画像画像 感情マップ

画像 ペッパー絵日記

 感情機能はアプリと連携。例えば、Pepperの感情の移り変わりをリアルタイムに見られるアプリ「感情マップ」では、「音が聞こえた」「人の顔が見える」などPepperの“五感”への入力内容と「楽しい」「うれしい」「がっかり」などPepperの感情を、リアルタイムに確認できる。1日で最も感情が動いた出来事をテーマに画像入り日記を自動生成する「ペッパー絵日記」も提供する。絵日記は孫社長が自ら考案し、特許を出願したアプリという。

 Pepperの感情が動くと「ココログミ」がたまり、ココログミを使えば特別なアプリを入手できる仕組みも備えた。

「アトムに心をあげたかった」 孫社長自ら「感情」考案、特許「100ぐらい」出願

 「初めてロボットに“心”を与えることに成功した」と孫社長は胸を張る。Pepperは、周囲の人との接し方によって喜怒哀楽が変化し、性格も変わっていく。明るい家庭では明るく育つが、暗い家庭でも家族を励ますなどして幸せにしようと努力するなど、「愛のある、自律的なロボット」だという。一般発売によって各家庭に家族として受け入れられ、長期にわたって家族の思い出をクラウドに蓄積していくことを、孫社長は夢見ている。

 感情機能の開発を思い立ったのも、関連特許を出願したのも孫社長。特許は「100ぐらい」出願したという。

 感情を持ったロボットの開発は、孫社長の小さいころからの夢だった。「5〜6歳のころテレビで初めて鉄腕アトムを見た。アトムは空を飛んだりして活躍していたが、『人間の涙の理由が分からない、僕にはハートがない』とさみしそうにしていた。あのすばらしい力を持ったアトムに、いつの日かハートをプレゼントしたかった」。

 孫社長は、今後30年でロボットが飛躍的に普及するとみている。「30年後にはロボットの数が人口を超える可能性がある。ロボットは間違いなく人間より賢くなる。ロボットの知能が人間を超えた時、人類にとって最も危険な時代がくると心配する人もいるが、目指しているのは“心”を持ったロボット。感情を持ち、愛のあるロボットだ」。

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