「私はAppleを愛している。Appleの製品はちゃんと動くし、信頼できる。だが残念なことに、Apple Musicでの私の体験はまったく逆だった。今日までに私はライブラリに保存していた約4700曲を失った」──。長年のAppleファンとして知られるジャーナリストのジム・ダーリンプル氏が7月22日(現地時間)、自身が編集長を務めるメディアThe LoopでApple Musicでの“悪夢”について説明し、サービス利用を止めたと発表した。
Apple Musicはスタートから約4週間経ち、様々なレビューが出ている。同サービスの特徴である人力によるキュレーションサービスなどは概ね好評だが、「iTunes Match」でCDからリッピングした楽曲をライブラリに保存している場合の問題については、一般ユーザーの間でも話題になっていた。
ダーリンプル氏の“悪夢”も、iTunes Matchとの連係の問題によるものだ。同氏によると、アルバムをライブラリに自動保存する際、何曲か抜けてしまったり、Apple Musicがまだ保存していない曲が既にあると誤解したり、逆に既に持っているアルバムを認識しなかったりするという。同氏は具体的な例を挙げてこうした問題を説明している。
同氏が時間をかけて抜けている曲を手作業で追加し、重複する曲を削除して整理したところ、翌朝には元に戻ってしまったことが何度もあり、Apple Musicを使うことを断念したという。
Apple Musicは「これだけではまだ足りないかのように、私にダメ押しの一撃をお見舞い」し、Apple Musicの利用を中止した後、利用前にiTunes Matchに保存してあった楽曲のうち、約4700曲が消えてしまったとダーリンプル氏は嘆く。そのほとんどは今は手元にないCDからリッピングしたものだという。
「これからライブラリに残っている曲を聴きながらまた買わなければいけない曲を調べ、(Apple Musicのスタートで)解約していたSpotifyのアカウントをまた作る」(ダーリンプル氏)
起業家で米Wiredのコラムニストでもあるアニル・ダッシュ氏はこの記事について、「ダーリンプル氏のようなエキスパートがこれだけ困惑しているとすれば、Apple Musicはユーザー体験の失敗という意味でApple Mapsの再来と言える」とツイートした。
これは、Appleが2012年のiOS 6リリースでアップデートした「マップ」のことだ。問題が多く、ユーザーから苦情が上がったこのマップについては、ティム・クックCEOが謝罪し、その後大きく改善された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR