2020年東京五輪のエンブレムをめぐる問題で、大会組織委員会が公表したエンブレムの「展開例」に、ネット上で公開されている第三者の写真が無断で使用された可能性が浮上した。組織委は「指摘を受け、現在調査している」と話している。
組織委は7月24日の記者会見で、アートディレクターの佐野研二郎さんがデザインしたエンブレムを発表。エンブレムが街中や空港に掲示されたり、グッズに使われている様子を示した「展開例」を紹介したが、そのうち、渋谷駅前と羽田空港での展開を示した画像が、ネット上で第三者が公開している写真と酷似していると、ネットユーザーが指摘していた。
渋谷駅前の画像は、イギリス出身のデイビッドさんがブログ「randomwire.com」で公開している渋谷駅前の写真と、音楽フェスティバル「tomorrowland」のWebサイトに掲載された人混みの写真を組み合わせ、エンブレムを合成しているように見える。
デイビッドさんのブログによると、画像の使用について連絡はなかったという。「私の写真がこういう形で使われるのはクールだが、少なくとも聞いてくれればよかったのに」とコメントしている。
羽田空港の展開例は、かつて日本に住んでいたという外国人女性のブログ「SLEEPWALKING IN TOKYO」に掲載された空港の写真にエンブレムを合成しているように見える。元の写真にはコピーライト表記があるが、展開例の画像ではコピーライトが消されている。
組織委はこれらの画像について盗用の可能性の指摘を受け、「現在調査している」という。
エンブレムをめぐっては、デザインがベルギーの「リエージュ劇場」のロゴに酷似しているとし、劇場とベルギーのデザイナーが、使用差し止めを求めて国際オリンピック委員会(IOC)を提訴。組織委は8月28日に記者会見を開き、原案を公開した上でエンブレムの独自性を改めて説明。展開例の充実ぶりが採用の決め手だったと説明していた。
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