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DellのEMC買収に暗雲? 1兆円以上の課税リスクも

» 2015年11月12日 15時01分 公開
[大村奈都ITmedia]

 米Dellがストレージ大手の米EMCを約670億ドル(約8兆円)で買収する計画は、IT業界最大級の買収案件として話題になったばかりだ。しかし、この計画は頓挫する可能性もある――米ブログメディアのRe/codeが「Dellの内部関係者の話」として伝えている。

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 計画難航の理由は、EMC買収に当たってDellに90億ドル(約1兆1000億円)もの税金が追加で課せられる可能性があるためだ。

 Dellは、670億ドルという巨額の買収資金を生み出すため、複雑な株の操作を行おうとしている。簡単に言えば、まだ持っていないものを売る方法だ。

 EMC子会社の米VMwareは、現在数百億ドルの企業価値があると見積もられている。Dellは、EMC株を1株33.15ドルと評価し、現金24.05ドルに加え、これから買収するVMwareの株式に連動した特別株9.1ドル分と交換する形で、EMC株を入手しようとしている。これは、税金対策としても優れた方法であるはずだった。

 だが、米内国歳入庁がこの手法を、課税対象となる「株式分配」と判断すれば、Dellには最大90億ドルの税金が課せられる。そうなれば、Dellは新たな借り入れをするか、この買収自体を断念するかの選択を迫られることになる。Re/codeは、問題が法廷に持ち込まれるリスクもあると指摘している。

 一方ロイター通信によれば、Dellに近い別の関係筋は今回の報道について、米税務当局は子会社連動株式を過去の類似案件と同じように扱うはずだと指摘。「EMC買収に影響が出ることはない」との見通しを語っているという。

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