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Google自動運転車のAI、米当局が「ドライバー」と認める方向へ

» 2016年02月11日 13時04分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Googleが開発中のオリジナル自動運転車にはハンドルもアクセルもブレーキもなく、人間のドライバーが不要だが、米政府当局は自動運転車に搭載するAI(人工知能)を法律上のドライバーとみなす方針だ。米国家道路交通安全局(NHTSA)がGoogleで自動運転車プロジェクトを統括するクリス・アームソン博士に宛てた2月4日付の書簡で明らかにした。

 この書簡は、昨年11月にアームソン氏が提出したドライバー不要の自動運転車に関連する現行の安全基準「Federal Motor Vehicle Safety Standards(FMVSS、連邦自動車安全基準)」の説明要請に応じたもの。Googleは、AI搭載の自動運転車には人間のドライバーは不要であり、AIをドライバーとして認めるべきだと主張した。

 car 1 Googleのオリジナル自動運転車(プロトタイプ)

 米国も批准する「道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)」は、車両には運転を制御できるドライバーが乗っていることを前提としている。そこで、AIをドライバーとして認めさせることがGoogleの狙いだ。

 NHTSAはGoogleの要請に応え、その主張の幾つかについて承認した。現在の安全基準ではハンドルやブレーキの装備、ドライバーの乗車が義務付けられているが、「Googleが十分な情報と(安全性を証明する)証拠を提示できるのであれば、こうした問題を解決できるだろう」としている。

 現行のほとんどの自動運転車プロジェクトは、いつでもコントロール権を人間のドライバーに切り替えられるようになっているが、Googleの自動運転車プロジェクトは、目が不自由でも、歩くことが困難でも、人々が自由に外出できるようになることを目指しているので、運転は完全にAI任せだ。

 car 2 車内にはハンドルもペダルもない

 NHTSAの書簡によると、Googleは自動運転車のコントロールの一部(ヘッドライトやウィンカーなど)を人間任せにすることは、かえって安全性にとって有害だと主張しているという。同社は、乗車する人間が制御はできなくても運転の状況を把握できるよう、(従来ハンドルが設置されている部分に)メーターや警告灯を設置するとしている。

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