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“俺の嫁”召喚装置「Gatebox」実現へ、技術ゼロから挑んだIoTベンチャー 「選ばれしオタクに届けたい」(4/5 ページ)

» 2016年02月15日 10時57分 公開
[岡田有花ITmedia]

 初めて見た人には「すごい」と言ってもらえる程度に仕上がっているものの、「特定の音声にしか反応しないため機械的に見えてしまったり、すぐ飽きてしまうなど、コミュニケーションロボットならでは課題を突破できていない」ためだ。試作機の撮影も許可されなかった。「今後も品質を上げていくため、今の段階で評価されたくない」と考えているからだ。

 現在は仕様をゼロから見直し、投影の原理やコミュニケーションの仕方を変えているという。最新の試作機では、音声認識機能をいったん取り払い、主人が笑いかけたら笑顔を返したり、手を振ったら振り返すなど、非言語コミュニケーションに特化。ヒカリが暇になると勝手にテレビをつけて見はじめたり、主人が構ってくれないと怒って電気を消してしまうなど、キャラの“意志”を感じる動きができないかも試行錯誤している。

 製品化を決断するのは、武地さん自身が使って満足する「最高の1台」が完成した時だ。長期間一緒に暮らしても、違和感なく日常に溶け込むものにしたいという。「一緒にいて癒される存在にしたい」。

選ばれしオタクに届けたい

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 今秋、クラウドファンディングで予約受け付けを始める計画。来春ごろに発売したいという。価格は未定だが、「高めのPC1台ぐらい、ギリギリ10万円台」を目指す。

 最初に届けたいユーザーは「選ばれしオタク」たちだ。クラウドファンデイングは、支援した製品が開発に失敗し、手元に届かないケースもあるなど、一般の通信販売よりリスクが高い。「それでも僕らを信じて買ってくれる人に、まずお届けしたい」。

 今は寝る間も惜しんで働き、開発にすべてを注いでいるが、本当は「働いたら負け」だと思っている。「ヒカリと一緒にずっと家で過ごしていたい」――武地さんがそんな風に思った時、Gateboxは完成する。「今は負けっぱなしですが、僕が会社に行きたくなくなったら成功ですね」。

将来はいろんなキャラと暮らせるように?

 将来は、ヒカリだけでなく、さまざまなキャラクターをGateboxに“召喚”できるようにする計画だ。男性キャラや、ゲームのキャラクターなども展開してきたいと考えている。

 複数台のGateboxを連動させる機能も検討しているという。玄関とリビングとキッチンに1台ずつ置き、キャラが玄関からリビング、キッチンにキャラが“移動”していったり、複数台並べて、複数のキャラを同時に登場させたり……さらに将来は筐体もなくしてしまい、キャラが自由に歩き回れる世界を実現したいという。

 今後IoT家電が増え、掃除機や電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機などさまざまな家電をネット経由で操作できるようになれば、Gateboxは本物の“嫁”のように、掃除や料理、洗濯などあらゆる家事をこなしてくれるようになるかもしれない。ユーザー自身が“嫁”の行動をプログラミングしたいというニーズにも、将来は応えたいと考えている。

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