TPP「アクセスコントロール回避規制」にMIAUが意見 「権利者に不利益ない行為は規制対象外に」
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)批准に伴う著作権法改正をめぐり、インターネットユーザー協会(MIAU)は2月23日、文化庁に提出した意見書を公開した。TPPではアクセスコントロールの回避に規制を求めており、日本で単純に導入されれば表現の自由や技術開発に悪影響を及ぼすとして、権利者に不利益を及ぼさない行為については規制の対象外にするよう求めている。
2012年の著作権法改正により、DVDの「CSS」やBlu-ray Discの「ACCS」といったアクセスコントロール技術を回避し、データを複製する行為が違法化された。ユーザーが自ら購入した市販DVDであっても、ネットで入手できるソフトなどを使いHDDなどの記憶媒体へリッピング(複製)する行為は、私的複製の範囲外として法に触れる。ただし、罰則はない。
ただ、違法なのはアクセスコントロールを回避した複製であって、回避自体は違法ではない。例えば日本でも利用者が多いフリーの再生ソフト「VLC Player」を使って市販DVDを視聴する際、ネットから入手したCSS回避手段を使って再生したとしても、複製目的ではないので問題にはならない。
TPPはアクセスコントロールの単純回避に規制
だがTPPでは、広く著作権保護技術の単純回避について規制を求めているため、複製目的に限らず、単なる再生であってもアクセスコントロールの回避が規制対象になる可能性がある。
TPPの知的財産の項目(政府仮訳)では、「保護の対象となる著作物、実演又はレコードの利用を管理する効果的な技術的手段を権限なく回避する行為であって、そのような行為であることを知りながら又は知ることができる合理的な理由を有しながら行うもの」について、「故意及び商業上の利益又は金銭上の利得のため」に行った場合、民事上の救済と刑事罰の対象にするよう求めている。
TPPをめぐる著作権法上の対応について、方向性についてまとめた報告書案で、アクセスコントロール技術が著作権者の利益を守るものだと評価し、「当該手段の回避行為及び回避機器の流通等に一定の救済を認めることが適切」とした。
一方で、著作権者の利益と国民の表現の自由や情報アクセスの自由とのバランスを図り、「権利者に不当な不利益を及ぼさない形で行われる回避行為」について、「広く例外規定の対象となり得るような制度設計」にすべきだとした。権利者の不利益にならないものについては、例外として認める形で制度を設計すべし──という方向だ。
「いじる自由」
MIAUは、文化庁の報告書案が例外について盛り込んだことを評価。その上で、回避規制が情報アクセス権と表現の自由を侵害しないよう改めて求め、またイノベーションの源泉となりうる「いじる自由」(Freedom To Tinker)を阻害しないためにも「新しい技術を制限するようなものであってはならない」と求めた。
具体的には、LinuxやVLC PlayerによるDVD/BD視聴といった、オープンソースソフトウェアなどによる情報アクセスのための回避行為や、視聴を目的とした回避、自分の機器で自分のソフトを動作するための回避──を挙げた。また、テレビ放送(B-CAS)やDVD/BDのキャプチャなど、著作権法が認めている引用でもアクセスコントロールによって利用ができない状況の解決を求めた。
例外規定を定めるに当たっては、技術の急速な進歩に対応するため、個別ではなく包括的な一般規定で対応すべきだとしている。
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