日本マイクロソフトが開発した人工知能(AI)「りんな」と、Wikipediaがしりとりで対決をしたら――そんな検証を試みた動画を、高校生がニコニコ動画に投稿し注目を集めている。
「りんな」は“おしゃべり好きの女子高生”という設定の人工知能。LINEに公式アカウントを持ち、友人同士のような自然な会話を楽しめるほか、「しりとり」などが遊べるのも特徴だ。膨大なデータを持つりんなの「しりとり」は想像以上の強さで、ネット上では「りんなのしとりが強すぎる!」「引き出しが無限大なのでは」「人間じゃ勝てないだろ!」――などと話題を集めていた。
「これって勝てるの……?」と疑問に思った高校3年生のプログラマー・mkc1370さんは「そうだ、プログラムを組もう!」と“打倒りんな”を画策。プログラミング言語C++を使い、しりとり専用のプログラムを作成した。Wikipediaの見出し語を基にした「辞書ファイル」を用意し、対決に臨んだ。
辞書ファイルには「あ」から始まる単語だけで3万3163個、全部で57万176個の単語を収録している。Wikipediaのデータを読み込む際、特殊文字などの例外を取り除いたり、2.6Gバイトあるファイルを3時間掛かって処理したり――と、地道な取り組みを続けた。
しりとり専用のプログラムは、言葉を「あいうえお順」で使うのではなく、語尾が「る」で終わる単語を優先して使う“る攻め”を採用。「りんな」が1度言った言葉は使えない、単語に「おわる」「こうさん」「あきた」などの文字があるとしりとりが終了する――といった問題を、1つずつクリアしていった。
そうして完成した“自慢のプログラム”で「りんな」に挑戦。524回の激しい攻防の末、「京王八王子高速バスターミナル」が決め手となり、勝利を収めた。「普段はりんなの負ける気がしないしりとりに於いて人工知能を負かしたので正直驚愕しつつこれを賞します」との表彰状もゲットし、mkc1370さんは「割と簡単に勝ってしまいました(笑)」とコメントしている。
mkc1370さんがプログラミングを始めたのは、小学4年生の時にゲームを改造するソフトを友人から貸してもらったことがきっかけ。「ゲームの改造というと『チートなんか使うの?』『ズルしている!』とあまり好印象ではないかもしれないが、実際に改造をしていくうちに面白さに魅了された」(mkc1370さん)という。
数カ月後には「数字とAからFまでの文字列だけで、どうして動作が変わるのか」といった疑問を抱き、自分でコードを書くように。「自分でもゲームを作りたい!」と、ニンテンドーDSiのソフトウェア「プチコン」を利用し、BASICを使ったプログラムを組み、プログラマーの道に足を踏み入れた。
現在は自分の表情に合わせ、3Dモデルを動かすプログラムに取り組んでいる。「既存の製品に負けないくらいの精度のプログラムを組みたい」(mkc1370さん)。
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