欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4月20日(現地時間)、米Googleがモバイル端末市場での支配的な立場を悪用し、Android端末メーカーや通信事業者を制限していることがEU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして、同社とその親会社である米Alphabetに異議告知書(Statement of Objections)を送ったと発表した。
欧州委員会は2015年4月からこの件に関して調査してきた。
欧州委員会は、Googleがモバイル端末戦略で、検索市場支配の保持・強化を狙っているとみる。競争政策担当コミッショナーのマルグレッタ・ヴェスタヤー氏は、欧州で販売されているほとんどのAndroid端末にはGoogle検索がプリインストールされ、デフォルト検索エンジンになっており、これにより競合する検索エンジンがAndroid市場から閉め出されていると主張する。
Android OSはオープンソースだが、端末メーカーが端末にGoogle Play Store(ユーザーが自分で好きなアプリを追加するために必要)をプリインストールするにはGoogleと合意書(非公開)を交わす必要があり、この合意書により、メーカーはGoogle Play Storeだけでなく、Google検索やGoogle Chromeなどを含むアプリ一式のインストールが義務付けられている。
また、今回の調査で、Googleが一部の端末メーカーと通信事業者に対し、Google検索アプリだけをプリインストールする場合に奨励金を提供していることが明らかになった。
Googleの法務責任者、ケント・ウォーカー氏は同日公式ブログで、「欧州委員会からの異議告知書を真摯に受け止めている。だが、われわれのビジネスモデルは端末メーカーが柔軟性を保ちつつコストを削減することと、コンシューマーが自分のモバイル端末を自由にコントロールできることに貢献していると確信している。(中略)われわれが市場競争とコンシューマーにとって有益な方法でAndroidモデルを設計していることを欧州委員会に証明することを待ち望む」と語った。
Googleは異議告知書に対し、向こう12週間以内に回答する必要がある。
Googleはこれはコンシューマーの便宜のためだとしており、メーカーはGoogleのアプリをプリインストールしないという選択もできると主張する。
GoogleのAndroidにおける戦略については、米連邦取引委員会(FTC)も調査中で、ロシア政府もGoogleに対し是正命令を下しており、現在係争中だ。
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