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卓球台が売れなければシリコンバレーが衰退する

» 2016年05月24日 11時08分 公開
[大村奈都ITmedia]

 シリコンバレーのIT企業には必ず卓球台が設置されており、卓球台がなければIT企業とはいえない。そして卓球台の売れ行きが、このところ悪化していると、Wall Street Journal紙(WSJ)が警告している

photo IT企業に人気の卓球だが、こういう卓球台ではない
photo こういう卓球台でもない

 米Twitterの2016年第1四半期決算は投資家を失望させるものだったが、この結果は2014年末に予測できたかもしれない、と同記事は指摘する。この時期まで、Twitterは定期的に卓球台を購入していたが、それが突然途絶えた。卓球台を置くスペースがなくなったのでなければ、社内でなにか問題が起きたのだ。Twitterの広報担当者は、屋内用バスケの方が人気と説明しているが、卓球台の新規需要が減ったことに変わりはない。

 低迷を続ける米Yahoo!からの注文は「長い間ない」状態。リストラを発表したばかりの米Intelも、やはり1年以上卓球台を購入していない。一方、市場予測をやや下回ったとはいえ十分な売上と利益を確保しているAlphabet(米Googleの親会社)は「予算は確保されている」と回答しており、実際に店舗でも購入しているようだ。

 シリコンバレーでは、社内で卓球をすることは従業員にとって当然の権利だと考えられている。IT企業による卓球大会は数多く開催されており、そのうちの一つを共同開催しているベンチャー投資家のマイケル・カーダモン氏は、「ITベンチャー企業は、投資された資金で絶対に卓球台を買うべきだ。それは企業文化構築の一助になる」と述べている。「卓球台がなければIT企業ではない」との声もある。

 そんなシリコンバレーのITバブルがはじけつつあることを、卓球台の売れ行きが示している。カリフォルニア州サンノゼのゲーム用品販売店店主は、「昨年第1四半期には卓球台が大人気だったが、今は勢いが鈍っている」とWSJの取材に答え、これはIT業界の動向に関係があるとの考えを表明している。同社の卓球台の売り上げは、2016年第1四半期には前年比で50パーセント減少したという。同じ期間に、ベンチャー企業の資金調達は25パーセント減少し、NASDAQの株価指数は1年以上ぶりの安値を記録した。

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