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Omoidoriで想い出のフォトグラフが帰ってきたら新連載:立ちどまるよふりむくよ(2/2 ページ)

» 2016年06月06日 08時44分 公開
[松尾公也ITmedia]
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想い出のフォトグラフ

 ぼくは3年前から写真と映像の整理を始めた。妻にもう会えなくなってしまったから。過去に撮りためた写真やビデオを家中から探し出し、友人、妻の実家までお願いして妻が写っているアルバムやデータを提供してもらった。それをScanSnapを使ってデジタル化し、それがいつ頃、どの場所で撮影されたものかを推測し、分かったりわからなかったりしながらも、すべてiCloudのフォトデータとしていつでも逢えるようにした。そのフォトライブラリを使って妻の合成歌声でミュージックビデオを作るのが残りのライフワークになっている。

 ただ、ドキュメントスキャナだと発色やスキャンのムラがきになることもときどきある。後でレタッチしてデジタル修復かけたりも最近はやっている。

 Omoidoriは、それを苦労なしに実現してくれる、まさにぼくのための製品だ。

 めずらしく日付印字している写真があったので、それをスキャンしてみることにする。30年前の1986年8月3日から5日まで、どこかに旅行したときの写真だ。残念なことに、場所を覚えていないので、どの旅館か、今では知る術がない。わかっているのは、時期的にカメラはOLYMPUS XA2だったということくらい。

photo 30年前に旅行したときのアルバム。そのままだとテカってる

 iPhone 5cをOmoidoriに装着し、パカッと開いて暗室部分を該当する写真にかぶせる。その状態はiPhoneのOmoidoriアプリで確認できるので、位置調整したらシャッターボタンを押す。すると、テカリ部分が入らないように合成し、顔認識で縦横を変換してライブラリに保存してくれる。

photo フォトアルバムにOmoidoriを載せてスキャンしているところ

 出来上がったものをトリミングすると、写真解像度としては2733×1930ピクセル。800万画素のiPhoneだとこのくらいになるだろう。iPhone 6sとSEなら1200万画素なのでそのさらに画素数は上がるはずだ。

 日付は自動認識して入力してくれる(デフォルトではオフなので、設定でオンにしておく必要あり)。銀塩写真の頃にあった、日付印字されたもの(クォーツデートとかいう用語、覚えてます?)を自動で読み取って、Exifデータを調整してくれる。これはなかなか便利である。全部日付を入れておくべきだったと今では後悔している。

 ただし、この日付認識、間違うこともあるみたいだ(8と6が誤認識しやすい)。Omoidoriでも、iPhoneやiCloudの写真ライブラリでも調整できるから、大きな問題ではないけど。

photo 1986年を1988年と誤認識
photo こちらは日付を正しく認識

 Omoidoriが1回で撮影できるのはL判サイズ(89×127ミリ)まで。2L判という、その倍のサイズ(178×127ミリ)も可能なのだが、その場合には設定を2L判モードにして、まず写真の右側を撮影し、次に左側を撮影する。その後、合成するという仕組みだ。反射のテカリを取るためにそれぞれ2度撮影しているから、この場合は4回の撮影を合成することになる。それでも合成の痕跡は認識できない。たいしたものだ。

 フォトアルバムや紙焼きだけでなく、卒業アルバムにも有効だということに気づいた。こういう大判を収めるためには同じくPFUのSnapLiteが便利だが、それでも光が映りこむ場合がある。そういうときは、必要な箇所にOmoidoriを押し当てればいいのだ。これで、妻の高校時代の卒業アルバムも、きれいにスキャンできた。SnapLiteを使うよりも近い位置で撮るのだから当然といえば当然である。

photo これは妻の高校卒業アルバムの集合写真から切り出したもの

想い出が帰ってきたら

 Omoidoriはおもいどり、いや、おもしろい。このためにiPhone SEを買ってもいいかなと思うくらい便利で、ガジェットとしてのギミックもすばらしい。OmoidoriとiPhoneを持って、自分の実家、妻の実家に3年ぶりに行って、子どもの頃のアルバムをスキャンしようか。そんなことを考えてしまう。

 スキャンした後のことも考えられているのが用意周到だ。スキャンした写真をテレビなどで家族と共有できるようにバッファローの「おもいでばこ」と、フォトブックに印刷できるように富士フイルムとコラボしている。スキャンしっぱなしでは楽しくない。想い出が帰ってきたらどうするか考えましょうね、という提案でもある。

 今回のスキャンで見つかった妻の新しくて古い写真は、そのスライドショーを背景に、リンゴ・スターの「想い出のフォトグラフ」を妻の歌声(UTAU-Synthというアプリで再現している)とぼくのデュエットでカバーしてみた。最後に行ったリンゴ・スターのコンサートで一緒に聴いた。そんなことを考えながら、妻とぼくの友人に向けて公開。

 想い出が帰ってくるとしたら、あなたはどうしますか?

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