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最新英語男声ボカロ「CYBER SONGMAN」に人間歌うマンが挑んでみた(2/2 ページ)

» 2016年11月02日 16時43分 公開
[松尾公也ITmedia]
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 米国歌手の発音は、従来のVOCALOIDが持つ音素記号では不十分で、ヤマハはCYBER DIVAのときにそれを改良するために独自の辞書を作成した。今回はさらに新たな発音記号を導入し、米国英語の自然な発音を可能にしているという。CYBER DIVAから引き続き英語VOCALOIDの開発を担当しているマイケル・ウィルソンさんがインタビュー動画で解説している。

 ウィルソンさんによると、新たに導入されたのは、Alvelolar Flap(歯茎はじき音化)のための発音記号。VOCALOIDでは「4」と表記する。わかりやすい例としては「better」。これは英語では「t」の音で、カタカナにすると「ベッツァ」みたいな発音になることが多いのだが、米国ではこれが「ベラー」に聞こえることが多い。これまでは「t」の代わりに「r」で代替したりしたのだが、本当は「t」と「d」の中間的な発音なので、これからはこの発音記号を使っていきたい。

 「better」の米国人的発音は、英国人シンガーでもよく使っている。例えばDeep Purpleの「Child In Time」でイアン・ギランは「ユッベラクロージョラーイズ」と歌ってるし、「Smoke On The Water」の「ウォーラ」もそう。Asiaの「Go」で、ジョン・ウェットンが「ゲラペンゴー」と歌ってるのも、Alvelolar Flapだ。このへんもCYBER SONGMANならちゃんと歌えるはず。

 この機能は、実はヤマハ以外にも提供していて、使われているボカロもあるという。だが、もう1つの発音、syllabic alveolar lateral approximant(音節歯茎側面接近音)はCYBER SONGMANが初披露。この発音は、VOCALOIDでは「@l」と表記する、「l」のバリエーションだが、「Apple」などの最後の「l」の発音がより自然になる。これまでは「{ pUl」と表記されていて、母音が強すぎるような違和感を覚えていたのだが、これを「{ p@l」と表記することで、より自然な発音になる。わからない人はわからないとは思うが、進化の1つだ。

 CYBER SONGMANで実装されたこの2つの発音を含むように作った曲、「Apple Watch In The Water」を24秒から聞くと、その発音がつかめるだろうか。

photo 「Ap-ple」と「Wa-ter」の上にある発音記号に注目

 CYBER SONGMANは発音が自然なので自分の声に実によく馴染む。ディオ・ブランドーがジョナサン・ジョースターの体を手に入れたときのような気分だ。

 しばらくこいつと遊んでみようか、そう思った矢先にまた新しい男声バーチャルシンガーがダウンロード可能になったらしい。以前噂として記事にした「BONES」だ。このあいだは三波春夫のCeVIO、ハルオロイド・ミナミが出たばかりだというのに。バーチャルシンガー(の発売日)は惹かれ合うというのは真実だったか。

 やれやれだぜ。

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