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» 2016年12月21日 09時42分 公開

STORIA法律事務所ブログ:「WELQ」はアウトか? セーフか? DeNAの責任は? 著作権法の観点から弁護士が分析してみた (2/5)

[柿沼太一,ITmedia]

「引用」に関する大いなる誤解

 まず知っておいていただきたいのは「引用」に関する大いなる誤解です。

▼「引用」として出典を明記しておけば著作権侵害ではない

▼無断で「引用」した場合すべて著作権侵害となる

▼どんな引用でも著作者の許諾が必要である

 ……どれも間違いです。

 「引用」というのは、著作権法上「著作権侵害ではない」と明記されている行為です。したがって、「引用」の要件を満たさなければいくら出典元を記載しても著作権侵害になりますし、逆に言えば「引用」の要件を満たしていれば、著作権者の許諾を得なくとも、記事や写真を適法にコピーできる、ということになります。

 これまでの判例などを総合して考えると、公表されている著作物について、おおよそ以下の要件を満たしたものは「引用」としてセーフ、と言われています。

1 引用先と引用元の明瞭区分

2 引用元(自分の記事)がメインで、引用先がサブ(主従関係)

3 引用の必然性がある

4 改変しない

5 出典を明記する

 このうち特に重要な1と2について簡単に説明します。

引用先と引用元の明瞭区分

 当たり前ですね。どこまでが引用先で、どこからが引用元なのかはっきりしないとダメです。

 方法としては、たとえばカッコでくくるとか、フォントを変えるとか、いろいろな方法がありますが、要は区別がつけばよいです。

 引用元(自分の記事)がメインで、引用先がサブ(主従関係)

 たとえば、自社記事が全くなく、引用先の記事だけを掲載している場合はダメです。

 裁判例で問題になったのは、「中田英寿事件」です。これは、当時イタリアのプロサッカーリーグのセリエAに所属するチームで活躍している中田英寿選手について、その出生からワールドカップ・フランス大会の本大会出場直前までの半生をまとめた本が問題になった事件です。この本の製作については、中田氏に対する取材や確認は一切行われていません。

 引用が問題になったのはなぜかと言いますと、この本では中田氏の中学時代の詩を丸ごとコピーしていたのですよね。で、中田氏側はこの行為は著作権侵害だ、と訴えたわけです(この裁判の争点はここだけではありませんが)。出版社側は「これは『引用』だから侵害ではない」と反論したのですが、裁判所は「引用」の成立を認めませんでした。

 というのは、この本では、中田氏の中学時代の詩を丸ごとコピーしたものの下に「中学の文集で中田が書いた詩。強い信念を感じさせる」とコメントしたにすぎなかったのです。これは、どう考えても引用先(中田氏の詩)がメインで、引用元(コメント)が従です。つまり主従関係を満たしませんよね。

 ちなみに、「NAVERまとめ」なんかは、そもそも「主」がないので「引用」の要件を満たしていないものがほとんどです(そういえば先日「肩こりの原因は幽霊 : 医学デマサイト?[WELQ]とは?! ? NAVER まとめ 」という記事を見つけて、めまいがしました)。

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