ここまでの説明を読んでいただければ、今めちゃめちゃ叩かれているDeNAの、ライター向けマニュアルは非常に良く出来ていることが分かると思います。
「執筆で他サイトを参考にするのはOKですが、参考にしたサイトの文章の語尾や言い回しを変えただけでほとんど同一の場合は、参考元との類似性が高いと判断され、差し戻し対象となります」
「事実を参考にするのはOKですが、表現は参考にせずご自分の言葉、説明の順序で説明してください。執筆前に内容を、事実と表現に単語単位で分解してみてください」
これは私がこれまで説明してきたこととほぼ同じ内容です。つまり、このマニュアルに記載されていることは、著作権法的には正しい内容なのです。
実際、著作権周りを取り扱う弁護士(私も含め)が、「違法にならないリライトの方法を教えていただけますか」と聞かれたら、私も含め全員がこのマニュアルに記載されているのとほぼ同じような答えをすると思います。
先ほどのリライトは「文章部分」についてのものです。では「写真」についてはどのように考えるべきでしょうか。
まず、「引用」については、文章部分と全く同じように判断がされます。つまり先ほどの5要件(引用先と引用元の明瞭区分」「引用元(自分の記事)がメインで、引用先がサブ(主従関係)」「引用の必然性」「改変しない」「出典を明記する」)を満たしていなければ著作権侵害になります。
ただ、写真については写真特有の問題として「リンク」の問題があります。まず、他人が著作権を持っている写真を、無断でサーバー内にアップロードして記事内で表示させた場合には、当該写真の複製行為や送信可能可行為を行っているので、当然のことながら著作権侵害になります。
一方、写真を埋め込みリンク方式で表示させた場合、サイト閲覧者が見ている写真はリンク元のデータであり、リンクを張っている人は、当該写真を複製しているわけではないので、著作権侵害にはならないのです。
詳細は当事務所の杉浦弁護士のこの記事をご参照ください。【参考】MERYやWELQ問題を受けて押さえておきたい、画像直リンクと画像無断使用の違法性
ただ、実は利用している元データが適法にアップロードされたものか違法アップロードされたものかによっても著作権侵害の成否が異なります。
表にしてみました。
この表に示したように、サーバにアップロードする方法は一律アウト、埋め込みリンク方式の場合は、適法にアップロードされた写真にリンクを張る方式であれば著作権侵害にならないが、違法にアップロードされた写真にリンクを張ると、著作権侵害の幇助(ほうじょ)になる可能性があります。
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