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「NAVERまとめ」と著作権 LINEに法的責任を問えるか? 弁護士が考察するSTORIA法律事務所ブログ(5/5 ページ)

» 2017年01月31日 09時30分 公開
[杉浦健二ITmedia]
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LINE社が発表したNAVERまとめに関する見解

 なお平成28年12月28日、LINE社は一連の報道を受けてプレスリリースを発表しました。(「NAVERまとめ」に関する昨今の報道を受けての当社見解について

 このリリースによると、LINE社は著作権侵害による削除請求を受けた場合、これまでは権利侵害ありの判断をするまでの間は当該まとめ記事は公開となっていたが、平成28年12月8日以降に侵害申告がなされたまとめ記事についてはまず非表示とするみなし非表示対応を行うものとしました(著作権侵害の疑いが生じた時点で非公開にする)

 この方針変更は、LINE社が著作権侵害主体ではない方向に働く要素、またプロ責法上も免責を受けられる方向に傾く要素となり、LINE社に有利に働くものと思われます。

ポイントはNAVERまとめを記事作成者と同視できるかどうか

 今回のプレスリリースで、LINE社は

「NAVERまとめ」は、1次コンテンツを生み出すサービスではなく、情報の検索/流通を担うサービスです。1次コンテンツがなければ、流通は成り立たず、「NAVERまとめ」は常に、1次コンテンツと閲覧する人々のよりよい架け橋となることを引き続き目指して参ります。「NAVERまとめ」に関する昨今の報道を受けての当社見解について

 との見解を示しています。

 NAVERまとめ自身がコンテンツを生み出していると判断された場合、運営者であるLINE社自身が著作権の侵害主体となり、また「発信者」にもあたるためプロ責法上も免責されないため、著作権法に基づく差止や損害賠償請求を受ける可能性が出てきます。

 このような法的判断もあり、LINE社はNAVERまとめを「1次コンテンツを生み出すサービスではなく、情報の検索/流通を担うサービス」であると対外的に改めて示しておきたかったのだと思われます。

 今回のNAVERまとめ管理方針変更(著作権侵害の疑いが生じた時点で非公開対応)は、NAVERまとめにおける著作権侵害コンテンツを減少させるものですし、LINE社にとっては自社の法的責任を問われにくくするものです。

 ただ一方で、現時点でまとめ記事投稿の仕組み自体に変更は加えられていないと考えられるため(引用モードの投稿部分など)、なおLINE社に対する法的責任追及の余地が消えたわけではないと言えるでしょう。LINE社の対応改善とLINE社への責任追及の動き、双方に注目して今後も見解を示してまいります。

弁護士:杉浦健二

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 中小企業から上場企業、海外法人まで日本国内外を含めた案件を取り扱う。契約交渉や債権回収などのビジネス法務、著作権関連、インターネット関連に多く携わる。国内外で講演実績多数。STORIA法律事務所所属。ブログ更新中。

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