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「NAVERまとめ」と著作権 LINEに法的責任を問えるか? 弁護士が考察するSTORIA法律事務所ブログ(4/5 ページ)

» 2017年01月31日 09時30分 公開
[杉浦健二ITmedia]

LINE社はプロバイダ責任制限法で免責されるか

 次にLINE社が著作権侵害主体にあたる場合でも、LINE社がプロバイダ責任制限法(プロ責法)上の要件を満たせば、LINE社は法的責任を免れます。先ほどの「著作権侵害の主体か」という問題と、プロ責法上の「発信者に該当するか」という問題は別の問題だからです。

 サイト管理者が、自身のサイト上にアップされたすべてのコンテンツについて厳格な管理責任を負うとするとサイト管理者にとって酷であることから、プロバイダ責任制限法は、サイト管理者の責任を一定の範囲に限定しています。

 プロ責法の詳細は前回の柿沼弁護士の記事に詳しいですが、シンプルにいうと

・サイト管理者が違法投稿を知っていながら放置していた場合

・サイト管理者自身が違法投稿の発信者にあたる場合

 はサイト管理者もプロ責法で免責されないことになります。

 もっとも上記のTVブレイク事件判決では、動画投稿サイトの管理者について

著作権を侵害する動画ファイルの複製又は公衆送信(送信可能化を含む。)を誘引、将来、拡大させ、かつ、これにより利得を得る者であり、著作権侵害を生じさせた主体、すなわち当の本人というべき者であるから、発信者に該当するというべきである。

 と示し、投稿者のみならずサイト管理者も「発信者」にあたる以上プロ責法で免責されないと判断しました。その結果、TVブレイク事件判決では(1)当該コンテンツの複製または公衆送信の差止めに加えて(2)サイト管理会社とその代表者に対して8993万円及び遅延損害金の支払を命じました。

 違法なNAVERまとめ記事があった場合、LINE社は「発信者」にあたるかですが、著作権の侵害主体の判断要素とプロ責法上の「発信者」にあたるか否かの判断要素は相当程度重複するものと考えられるため、LINE社が著作権の侵害主体にあたると判断される場合、プロ責法上も「発信者」にあたるものとして免責されないと判断される可能性はあると考えます。

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