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「イノベーティブでクールじゃないと、がっかりされると思っていた」――元Apple社員が開発、IoTサービス「まごチャンネル」が生まれるまでクラウドファンディング「成立」のその後(3/3 ページ)

» 2017年03月10日 09時00分 公開
[矢内加奈子ITmedia]
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 そしていざプロジェクトがスタートすると、さまざまなメディアに掲載されて盛り上がりを見せ、目標金額の100万円をわずか50分で達成。そのスピードがさらに話題となり、数十ものメディアで取り上げられた。期間中も話題は冷めることなく、最終的に約571万円を調達し、プロジェクトは盛況のうちに終了したという。

ユーザーの反応は

 目標を大きく超える資金を調達したまごチャンネルは、無事に製品化が決定。すでに開発を終え、クラウドファンディングで支援してくれたサポーターへの製品配送も完了している。

 製品を受け取ったユーザーからの反応は上々のようだ。「(まごチャンネルを)見るのが毎日の日課になっている。毎日成長を見るあまり、出不精の親がニューヨーク在住の孫に1年に2回も会いに来るようになった」など、いくつもの喜びの声が聞こえてきているという。

photo 伊勢丹での展示会の様子

 特に、クラウドファンディングの実施理由でもあった「熱狂的な初期ユーザー」からの声は大きく、製品配送が完了するとメッセージや熱心なレビューが続々と届いたという。「開発前から支援してくれたサポーターは、制作メンバーのような気持ちでいろいろと自分のことのようにアドバイスしてくださる人が多かった。今後もサービスを拡大していく上でとても大事な存在になっていくと思う」と梶原さんは話す。

 実際、リリース前にサポーターから出たレビューを参考に、アプリの仕様に変更を加えたこともあったという。ユーザーからもらった改善案は今後も随時検討する考えだ。

 同社が今後力を入れるのは、さらなるサービス拡大に向けた仕組みづくりだ。

 クラウドファンディング期間中、伊勢丹新宿本店内でMakuakeが実施していたプロジェクト展示がきっかけとなり、まごチャンネルは同店舗での正式販売がスタート。このほか、三越日本橋本店、銀座三越でもすでに販売が始まっている。今後も提携先を増やすなどし、まごチャンネルをより多くの人に使ってもらえるようにしたいと梶原さんは言う。

photo

 元アップルという経歴から「イノベーティブでなければダメだということにとらわれ、苦しい時期もあった」と話す梶原さん。今では、まごチャンネルを使って孫の様子をテレビを見られるのがうれしくて、涙を流すおじいさんやおばあさんもいるという。その光景を見れば、きっと多くの人がイノベーティブだと感じるだろう。

著者プロフィール

矢内加奈子(やない・かなこ)

クラウドファンディングサイト「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディングで広報を務めている。


Makuakeとは?

2013年8月にオープンしたクラウドファンディングプラットフォーム。2016年5月時点までに1200件以上のプロジェクトが実施され、1つのプロジェクトで1000万円を超える大型資金調達に成功するケースも複数登場している。


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