この記事は、「STORIA法律事務所」のブログに掲載された「人工知能(AI)が作ったコンテンツの著作権は誰のものになるのか?」(2016年6月1日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
前回の体を張った記事で書いたように、今後、人工知能(AI)によって爆発的な量のコンテンツが生み出されることはほぼ確実です。例えば昨年の4月に、「AIがレンブラントの『新作』を描いた」というニュースが話題になりました。
17世紀のオランダ画家・レンブラントの画風を機械学習や顔認識で分析し、3Dプリンタを使って“新作”を描く――そんなプロジェクト「The Next Rembrandt」を、米Microsoft、オランダのデルフト工科大学などの共同チームが実現した。約1年半をかけ、レンブラントの作風をまねた新しい作品が完成した。
レンブラントが描いた全346作品を3Dスキャンし、高解像度化した画像データを用意。ピクセル単位で画像を分析し、ディープラーニングのアルゴリズムを用いて、絵画の主題や構図、服装の特徴、性別・年齢などを学習した。顔認識アルゴリズムを活用し、目や鼻といった顔立ちのバランスも考察している。(ITmedia NEWSより)
AIが描いたこの“新作”については、誰がどのような権利を持つことになるのでしょうか。
AIが創作した物は誰が権利を持つのか、という点はビジネス的にも法律的にも非常に興味深い論点でして、この点について言及した「知的財産推進計画2016」が、内閣の知的財産戦略本部で昨年5月に決定されました。
また、その後も引き続き「知的財産推進計画2017」策定に向けた検討が政府内で進んでおり、「新たな情報財検討委員会」では刺激的な議論がなされています。この委員会での議論の結果については近々報告書が出されると思いますが、今回の記事ではとりあえず現在公表されている「知的財産推進計画2016」と、昨年分の委員会の報告書などを前提としています。
この「知的財産推進計画2016」は、合計134ページ程度の報告書ですが、その中に「人工知能によって生み出される創作物と知財制度」というわずか約1ページの記載があります。これは知的財産戦略本部に設置された「次世代知財システム検討委員会」での議論を集約した報告書を基にしています。
この報告書は当然、次世代知財システム検討委員会の議論を基に作成されているのですが、この委員会、議事録がめちゃくちゃ面白い。
この委員会のメンバーは学者さん、IT企業の方、弁護士などの実務家、漫画家の方など各方面の一線級の方々ばかりで、それらの方々が好き勝手──じゃなかった、それぞれの個性と考え方を惜しみなく発揮されています。
参加者全員がワクワクして、あるいは危機感を持って、いずれにしても“自分事”として熱心に議論し、その結果、委員会が大盛り上がりだったことが議事録からもよくうかがえます。
なにせ、もともと開催7回で年度内に終える予定だったのが、1回延期されて年度を越しちゃってますからね。コンテンツ関係業界の方、IT業界の方、弁護士でこの分野に興味がある方は、是非この議事録は、人工知能のところだけでも読むことをお勧めします。
さて、前置きが長くなりました。今回の記事ではAIが生成したコンテンツ(AI創作物)が爆発的に増えていったときに、誰がどのような権利を持つかについて、上記の知的財産推進計画2016、次世代知財システム検討委員会報告書、同委員会の議事録・参考資料を紹介したいと思います。
結論的には以下のものです。
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