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「VRの課題は“クリエイター不足”」――Googleストリートビュー手掛ける映像ベンチャー、アカデミー開講の狙い

» 2017年04月13日 19時27分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 映像制作ベンチャーのLIFE STYLEは4月13日、360度の実写コンテンツの制作技術を学べる講座「VRクリエイターアカデミー」を5月に開講すると発表した。同社は2014年に創業し、Googleストリートビューで表示される屋内映像の一部撮影などを手掛けている。そんな企業がアカデミーを開講する背景には「VR元年から見えた課題」があるという。

photo 360度カメラをクルマに搭載し、仏パリ市内を走ったときの映像を球体にしたもの

 講座は4日間をかけて、360度カメラなどの機材の選び方や扱い方、映像編集テクニックなどを学ぶというもの。例えば、複数台のカメラで撮った写真をパズルのように組み合わせて360度のパノラマ写真にする技術(スティッチ)、影を消したり、色彩を調整したりするソフトウェアの操作――など、「短期間でプロの制作技術が身に付く」という。定員は最大10人で、受講料は39万円(税別)。

photo 講座は3日間のトレーニングと成果物発表会が1日

 講師を務める写真家の染瀬直人さんは「インフラや機材が整い、360度映像制作の参入のハードルは下がったが、よりクオリティーが高いものを作ろうとすると、技術的な下支えが必要」と話す。例えば、映像が揺れると“画面酔い”してしまったり、編集技術が未熟だとスティッチが不自然になったりする恐れがあるという。

photo 複数台のカメラで撮った写真をパズルのように組み合わせる「スティッチ」

 「360度映像を編集するソフトウェアの対応言語は、英語やフランス語ばかりで、日本だと正しく使われていないケースもある。海外で人脈を作り、何年もかけて学んできたノウハウを、4日間の講座に投入したい」(染瀬さん)

 講座は1カ月に最大3回、年間30回を予定し、初年度は合計300人の受講を見込む。受講生は、米GoPro傘下の映像制作ソフトウェア企業Kolorによる認定資格の取得も目指す。「映像制作を依頼するユーザー側からすると、資格を持っているクリエイターにお願いしたいという気持ちがある。資格習得はクリエイターの信用向上につながる」(同社)。

VR元年から見えた課題は「人材不足」

 2016年は「PlayStation VR」「Oculus Rift」などのVR(仮想現実)機器が多数登場し、しばしば「VR元年」とも呼ばれた。そんな盛り上がりの中、LIFE STYLEは、Googleストリートビュー(日本国内)の屋内360度映像をはじめ、2年間で1万件以上のコンテンツ制作に携わってきたという。同社の永田雅裕CEOは「日本国内でもトップレベルの実績」と自信を見せる。

 一方、永田CEOは「VR元年から見えた課題として、コンテンツを作れる人材が不足している」と指摘する。2020年のVR市場規模(売上高ベース)は、VR機器などのハードウェアとコンテンツの比率が3対7――と、ハードウェア比率が高かった2016年時点から見て逆転する予測もあるという(PDF)。

 「現状のVR市場でどれくらいのシェアを取るかというよりは、まず市場規模を大きくすることが重要」と永田CEO。そのために「(アカデミー開講を通じて)優れたコンテンツを作れるクリエイターを育て、VR関連のコミュニティーを広げる」としている。

photo 左からLIFE STYLEの冨山亮太取締役、永田雅裕代表取締役、写真家の染瀬直人さん

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