Twitterライクな分散型SNS「Mastodon」(マストドン)の日本最大のインスタンス(サーバ)「mstdn.jp」が、移転の準備をしている。管理人の「ぬるかる」さんが14日、クラウドサービスにサーバを移転すると予告した。移転で「おそらくデータが消え去ってしまう」といい、「ひとまず他のサーバを使っていただけるとありがたい」としている。
Mastodonは、ドイツに住むEugen Rochkoさん(24)が作ったTwitterライクなSNS。構築するためのソフトがオープンソースで公開されており、誰でも独自のインスタンス(サーバ)を作れるのが特徴だ。インスタンス同士は「連邦」(連合)としてゆるくつながり、ユーザーはインスタンスをまたいで交流できる。(関連記事:ポストTwitter? 急速に流行中「マストドン」とは)
世界の総インスタンス数は600以上。日本でもいくつかのインスタンスが立ち上がっており、最もユーザーが多いのが「mstdn.jp」だ。4万人以上の登録ユーザーをかかえており、ユーザー数・トゥート(投稿)数とも世界一の規模だ。22歳の学生・ぬるかる(@nullkal)さんが私費で11日に開設。自宅のサーバで運用してきたという。
12日以降、mstdn.jpのユーザーが急増。動作が不安定になったりデータが消えるなどさまざまな苦難を乗り越えてきた。大学に通いながら寝る間も惜しんで運用しているぬるかるさんにユーザーは感謝しており、クリエイター支援プラットフォーム「Enty」を通じて寄付も集まっている。
ユーザー急増で自宅サーバの限界を迎えたようで、ぬるかるさんは14日昼過ぎ、「mstdn.jpをさくらのクラウドへ移転します」と予告。「それに伴ってデータが消える可能性があるので、重要なトゥートやフォロー関係はあらかじめメモやエクスポートをしておいてください」と告知した。移転作業中は「ひとまず他のサーバを使っていただけるとありがたい」としている。
新規登録受け付けも中断。14日の夜中か15日朝方には移転を始めたいという。
Mastodonは、複数のインスタンスに別々にユーザー登録でき、インスタンスが異なるユーザー同士でもフォローしあえる。日本人が多く集まるインスタンスは「mstdn.jp」以外にもいくつかあり、日本向けインスタンスをまとめて一覧ページやブログで紹介している人もいる。
「Mastodonは分散化したプラットフォームであり、コミュニケーションが単一の企業に独占されるリスクを避けられる」と開発者のRochkoさんは説明している。ユーザー各自でインスタンスを立てたり、信頼できるインスタンスを各自が選んで“ホーム”にしつつ、ほかのインスタンスのユーザーとも交流する――などの形でプラットフォームが分散・乱立してゆくさまこそが、開発者が意図した姿なのかもしれない。
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