人工知能(AI)導入率で、日本の出遅れが目立つ――そんな調査結果を、MM総研がこのほど発表した。AIを導入している企業の割合は、米国では約13.3%、ドイツでは約4.9%、日本では約1.8%と、他2カ国に出遅れているという。日本企業は、良質なデータの保有を強みとする一方、それを活用する人材や業務運用ノウハウの不足が課題になると、同調査では指摘している。
調査は、日本企業(予備調査8797人、本調査2000人)、米国企業(予備調査1071人、本調査500人)、ドイツ企業(予備調査1631人、本調査500人)に勤める人を対象に、2017年3月2〜16日にネット上で実施。AI技術のビジネスへの導入状況を聞いたところ、日本は導入済みが約1.8%、導入検討中が17.9%、米国は導入済みが13.3%、検討中が32.9%、ドイツは導入済みが約4.9%、検討中が22.4%という結果だった。
2016年度のAIビジネスの市場規模を比べると、日本は約2220億円、米国は約3兆9340億円、ドイツは約3260億円。日本では今後、年率20.4%で成長し、21年度には5610億円規模を見込む。17〜18年度は実証実験が積極的に行われ市場が拡大するが、そこから運用・技術面の課題が浮き彫りとなり、19年度には市場が一度縮小する可能性があるという。
日本企業は、AIビジネスの世界市場でどう戦うべきか――MM総研が、AI技術を提供する企業(日本480社、米国320社、ドイツ227社)に「強み」を聞いたところ、日本は他2カ国と比べて「良質な学習データを保有」することに優位性があるが、そうしたデータを活用するデータサイエンスティストやプログラマーなどの人材、業務運用ノウハウが劣っていると認識していることが分かった。
AIの世界市場が成長・成熟していく中、日本企業が戦うには(1)人材の教育・採用、(2)課題解決ノウハウとAIを組み合わせてビジネス課題を解くこと――の2点が問われると、MM総研は結論付けている。
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