「『今遊べるVRゲームを買う気になってもらおう』という発想が間違っている」──5月11日、ゲーム関係者を集めたイベント「東京サンドボックス」(5月10〜14日)に、Oculus VR創業者のパルマー・ラッキーさんが登壇。「なんでも聞いてください」と題した質疑応答セッションに、VR(仮想現実)・ゲーム業界人から数々の質問が飛びだした。
パルマーさんは2012年に米Oculus VRを創業。VR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)「Oculus Rift」の資金調達をクラウドファンディングでスタートし、開発者キットを段階的にリリース。14年には買収によって米Facebook傘下に。16年には製品版Oculus Riftをリリース。VRブームに火を付けた草分け的存在として広く知られている人物だ。米雑誌『TIME』で「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれている。
17年3月には米Facebookを退社することを発表した。パルマーさんは、これまでを日々を驚異的なものだったと振り返る。
「OculusをFacebookに売りました。私はFacebookを退社しましたが、信じられない日々でした」(パルマー氏)
16年は「HTC Vive」や「PlayStation VR」など、Oculus Riftとともに各社からVRデバイスが相次いで発売され、本格的なVR元年とされているが、現在は当初予測されていたVR市場の成長率が下振れしているとの指摘もある。
「人によって言うことは変わるよね。ファイナンシャル・アナリストよりも、VRクリエイターの言っていることのほうが正しいよ。前者は予想が外れても給料が出るけど、後者は倒産しちゃうから」(パルマーさん)
現状のVR製品は、新しいもの好きなアーリーアダプター層の心をつかんでいる一方、いわゆる“カジュアルゲーマー”のような一般層が飛びつく状態には至っていない。この層にアプローチするにはどうすればいいのだろうか。パルマーさんは、そもそも発想を変える必要があると指摘している。
「『今遊べるVRゲームを買う気になってもらおう』という発想が間違っている。とにかくVRを普及させるには『付け心地が良く』『安くて』『面白いコンテンツ』を作るしかない。必死に『面白いよ!』と呼び込むよりも、プレイした人が『すごい!』『安い!』『買う!』となる状況を作り出すほうが重要だ」(パルマーさん)
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