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近未来SFマンガ「AIの遺電子」出張掲載 第11話「寡黙な彼女」よりぬきAIの遺電子さん(3/3 ページ)

» 2017年06月08日 07時00分 公開
[松尾公也ITmedia]
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各話解説

 シンギュラリティー(技術的特異点)を通過し、AIがAIを生み出し、人間と同等の知性を備えたヒューマノイドが人口の1割を占めて「人類」の一部となっている、そんな時代を描いたクロニクルの2巻目11話。

 コミュニケーション手段は変わった。ヒューマノイドは最初から、人間も体内に埋め込んだコミュニケーション装置「インプラント」を通して、電話をかけたりゲームをしたりメールを受け取ったりできる。そこに種族的な不平等はない。

 使われるアイコンは、スマートフォン以前、固定電話のときのままだ。肩と首に挟んで長電話をした黒電話、緑色の公衆電話のあの形がそのまま残っている。自分だけに見える仮想ディスプレイに、大きく表示される受話器、封筒のアイコン。

 ハードは消えてもアイコンは残る。フロッピーディスクが使われなくなっても「保存」のアイコンとしては使われ続け、ストレージのアイコンはSSD主体になってもHDDのまま、現代と同じだ。

 ヒューマノイドの彼女と彼氏は同棲する恋人関係(ちょっとギクシャク中)にあるが、彼女が事故で元の体を失い、第2種国保(ヒューマノイド向け)に加入していないせいで旧型デスクトップPCを思わせるボディーに移しかえられてしまう。生活は不自由だが、発話能力が劣る旧式ボディーの彼女を思いやってか、コミュニケーションは以前よりうまくいく。

 彼女は人間らしいヒューマノイド新型ボディーのテスターとなり、無事に移しかえられた。これは、須堂新医師が第1巻5話「富豪の秘密」でセルノヴァ社のロジャー・ハースト会長に貸しを作ったからなのだろう。

 以前の言語能力を取り戻した彼女だが、彼氏との関係も事故以前に。友人からのアドバイスで彼に電話をする。旧式電話のアイコン。器は変わっても、伝えるものは変わらない。

山田胡瓜先生への一問一答

―― 胡瓜先生は、アイデアが浮かばず行き詰まったときは何をしますか?

胡瓜先生 散歩をする、トイレにこもる、脳科学や心理学の本を適当にめくる、ラジオを付ける、ネットを見る、といったことをします。



作者プロフィール

山田胡瓜(やまだ・きゅうり)

漫画家。2012年、「勉強ロック」でアフタヌーン四季大賞受賞。元ITmedia記者としての経験を基に、テクノロジーによって揺れ動く人間の心の機微を描いた「バイナリ畑でつかまえて」をITmedia PC USERにて連載中。Kindle版はAmazonコンピュータ・ITランキングで1位を獲得した。2015年11月、週刊少年チャンピオンにて初の長編作品となる「AIの遺電子」を連載開始。


(C)山田胡瓜(週刊少年チャンピオン)



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