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女性向けネットコミュニティーはマストドンで成功するのか?マストドンつまみ食い日記

» 2017年07月02日 17時46分 公開
[松尾公也ITmedia]

 マストドンはしばしばパソコン通信時代の草の根BBSに例えられる。

 そういえばその頃、Muffin-Netという、子育てママ向けBBSがあった。

 1990年前後、小学館は2つのBBSを持っていた。1つは週刊ポストが運営していた「ポストネット」、もう1つは子育てママ向け月刊誌「Muffin」(マフィン)の編集部が立てていた。後者がMuffin-Net。インターネット以前のいわゆるパソコン通信サービスで、草の根BBSソフトを使った仕組みなのだが、商業メディアが自ら運営した四半世紀前の成功例の1つだ。

 そんなに大ヒットしたものではないママさん向け雑誌の編集部が運営していた当時のMuffin-Netは電話回線でダイヤルアップ接続する、テキストオンリーの電子掲示板で、会員規模は数十から数百名程度。オフ会は当時は珍しかったシッター付きで、子育て中の若い親が集まり、盛り上がっていた。

photo オフ会に参加した妻(ハンドル名のネームプレートを付けている)

 編集者が参加し、そこから意見を吸い上げて企画にしたり、読者をモデルにしたページを作ったりもしていた。長男が3歳になったくらいの我が家もその企画で数ページにわたって、東北をSAABカブリオレでドライブする旅の「読モ」になったりした。

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 Exciteが始めた女性向けインスタンス「julika」が目指すモデルはそれに近いのではないかと思い出した。julikaはWoman Exiteが対象としているママだけではなくて、十代を含むF1層ターゲットの媒体も参加しているのでもっと大きな枠組みだが、少なくとも同じような成功を収めることができるのではないか。

 Muffin-Netは草の根BBSからNIFTY-Serveに場を移し、そのさらに後は小学館のWebサイトに引っ越した。2000年にはi-modeに対応するなどしたが、2003年に母体である雑誌Muffin自体が休刊するとともに、小学館の女性サイトFAnetに吸収され消えたという。

 それでも10年以上、形態を変えながら続いていたことになる。

 一度作ったコミュニティーは、プラットフォームがマストドンではなくなっても、それが必要であれば続いていく。OStatus以外のプロトコルを使った別のプラットフォームかもしれないし、さらに改良されたものかもしれない。運営側の負担を減らした次世代のYayakaかもしれない。

 Exciteのメインサービスからの誘導などはこれからのようなので、あまりあせらずにやっていってほしい。ニーズも、やり方もいくらでもあるはずなので。

 マストドンで初めて切り開いた道ではないのだから。

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