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クルマ1台のモデリングに6カ月 サーキット風景も徹底再現する「グランツーリスモ」の“やりすぎる”こだわり 山内社長に聞くクルマの未来はIoT(2/4 ページ)

» 2017年07月31日 13時20分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 グランツーリスモは、空撮や車載によってコースをレーザースキャンして計測。ミリ精度で実在するサーキットを再現している。さらにコース脇に生えている樹木の葉っぱも、樹種ごとに反射率や透過率、絶対的な色を測定して完全再現するこだわりようだ。

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 これらを正確に測定しておくと「雨で樹木の葉に薄い水膜が張ったとき、どのように見た目が変化するか」といったものが計算で求められるため、天候変化の表現などもクオリティーを保ったまま対応しやすくなる。

 樹木を担当しているアーティストは、実在するサーキット周辺に生息する品種を調べ尽くす。樹皮のモデリングデータを見るだけで、どこのコースに生えているものか分かってしまうという。

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 他にも、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)の敷地内にある観覧車のどだいとなる鉄材やボルト一本までモデリング上で再現するなど、こだわりの部分を挙げればきりが無い。これらのデータは、今後10年間は十分使えるレベルだという。「10年後、そのクオリティーが自分たちのやりたいことに対して十分でないと判断したらならば、また1から作り直すのでは」と、山内社長は笑いながら話す。

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見えないところまで再現する理由

 “異常”とも感じられる制作陣のこだわり──なぜここまで“見えそうもない”部分を追求するのか。山内社長は「見えないというわけではない」と説明する。

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