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スマホゲーム、次のトレンドは“輸入版”? 「自社開発しない」ネクソンの戦略「けものフレンズ」復活は?

» 2017年08月20日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]
ネクソン ネクソン モバイル事業本部の金起漢(キム・キハン)本部長

 「国内スマートフォンゲーム市場の次のトレンドは、海外からの輸入タイトルやオリジナルタイトルになるだろう」──ネクソン モバイル事業本部の金起漢(キム・キハン)本部長は8月17日、事業説明会でそう話した。「今後は1つ1つのタイトルに注力し、よりクオリティーの高いタイトルを海外から日本へ持ってきたい」という。

 国内のスマホゲーム市場を見ると、「Fate/Grand Order」(ディライトワークス)や「アイドルマスターシンデレラガールズ」(バンダイナムコエンターテインメント)など、既存の人気IP(知的財産)を活用したタイトルが人気を集めているように思える。だが、金さんは「国内市場の次のトレンドは、海外輸入やオリジナルタイトルになるのでは」と分析する。

ネクソン 国内モバイルゲーム市場について

 金さんによれば、やりこみ要素やゲーム性の高いスマホゲームが求められるようになり、開発費やマーケティング費が高騰して、開発側の視点では費用対効果に見合った新たな開発方法が求められているという。

 ユーザー視点でも、年々クオリティーの高いタイトルを求める傾向が高まり、金さんは「スマホゲーム市場が成熟してきたこともあり、新たなニーズが生まれるのでは」と考えているそうだ。

海外タイトルの日本展開、ネクソンの強みは?

 では、金さんが「次のトレンド」と考える海外タイトルの日本展開について、ネクソンはどのような強みを持つのか。

ネクソン ネクソンのモバイル事業本部について

 ネクソンは韓国で創業したが、2003年に本社を日本へ移した。国内での自社開発はせず、韓国を中心とする関連会社と手を組みながら、海外タイトルを日本向けにローカライズし、モバイルゲーム事業で売上を伸ばしてきた実績があるという。

 国内モバイル事業本部は15年8月に設立し、2年間で18タイトルをリリース。全タイトルの累計登録ユーザー数は約2年で16倍強となり、月別の平均DAU(デイリーアクティブユーザー)や、スマホゲーム関連の売上も順調に推移しているという。

ネクソン 2年間で18タイトルをリリース
ネクソン ネクソンのモバイル事業売上推移

 海外タイトルを日本に輸入するにあたり、いかにローカライズするかがポイントになるという。イラストやシナリオを日本向けに大幅修正した「HIT 〜Heroes of Incredible Tales〜」(16年12月配信)は、App Storeセールスランキングのアクションゲームカテゴリーで最高3位を記録したこともある。

日本でもヒットするタイトルの共通点は?

 金さんによると、日本向けにローカライズする海外タイトルを選ぶ際のポイントは2つあるという。それは「ゲームの核となる面白さの部分が日本でも受け入れられるかどうか」「日本向けのローカライズがしっかりとできるかどうか」だ。

 ゲーム自体の根本的な面白さやオリジナリティーはローカライズする以前の問題。そこから、特にイラストやシナリオを中心に日本ユーザー好みにテコ入れをする作業が必要になる。その際、開発会社が体力・技術的にローカライズに対応できるかどうかという制約も出てくるという。

ネクソン 海外のゲームを日本向けにローカライズ

 「日本はジャンルとしてRPGが人気だったり、競争より協力を好んだりという傾向はあるが、韓国や中国とそこまで大きく異なる点はない。今後はアジアだけでなく、いろんな国の開発会社と手を組んでグローバル展開していきたい」(金さん)

「けものフレンズ」アプリ、再開はある?

 2016年にサービスを終了した「けものフレンズ」のゲームアプリについても改めて聞いてみた。

 今年3月、Twitterで同タイトルが復活するのではないかといううわさが流れ、運営元の同社に真相を尋ねたことがあったが、その際は「(アプリ再開の)可能性はある」が「現在のところ決定していることはない」と回答していた。

 8月14日にブシロードが「けものフレンズ」を題材にした新作スマートフォンゲーム「けものフレンズぱびりおん」を発表したが、特に関連はないのだろうか。

 同社は「(けものフレンズぱびりおんについて)当社としてコメントできることはない」と答えた。サービスを終了しているけものフレンズのゲームアプリ再開についても「以前の回答から特に変わった点はない」としている。

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