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ビットコイン「Segwit2x」中止 11月の分裂回避

» 2017年11月09日 10時32分 公開
[ITmedia]

 11月16日ごろに予定されていた、ビットコインのハードフォーク「Segwit2x」が中止になった。Segwit2xを推進していたグループが、「ビットコインコミュニティーで十分なコンセンサスを得られていない」として8日、「導入を延期する」と発表した。分裂回避を受けてビットコインは高騰。一時約87万円の高値を付けた。

画像 中止の発表

 ビットコインは、取引データを記録した「ブロック」を連鎖させた「ブロックチェーン」技術により、多重利用や改ざんを防いでいる。だが、利用者の急増でデータ量が増え、取引確定に時間がかかるようになったため、仕様を変更する議論が行われてきた。

 今年8月、データ量を圧縮する「Segwit」導入に成功。Segwitは、ブロックサイズを維持して元のビットコインとの互換性を保つ「ソフトフォーク」と呼ばれる仕様変更だ。11月16日ごろには、ブロック容量が2倍になるが、元のビットコインとの互換性が失われる「Segwit2x」(ハードフォーク)の導入を、一部の開発者などが計画していた。

 Segwit2xを導入すると、元のビットコインのブロックチェーンを破棄し、新たなブロックチェーンに移ることになる。円滑に実現するには、開発者やマイナー(ビットコイン採掘者)、取引所など全員の合意を得ることが理想だ。だが、コア開発者や一部マイナーが不賛成に回っており、このまま分裂を強行すれば、元のビットコインと「Segwit2x」導入後のビットコインとで争いが起き、ビットコインの信用が失墜するのでは――など懸念が出ていた。

 Segwit2xを主導していたグループの代表・マイク・ベルシェ氏(ビットコインウォレット企業・米BitGoのCEO)は8日、Segwit2xの導入を延期すると発表。「我々はブロックサイズ拡大の必要性を強く信じているが、さらに重要なのは、コミュニティーの絆を保つことだ。われわれが十分なコンセンサスを構築できていないことは明らか。分裂を強行すると、コミュニティーを分裂させ、ビットコインの成長を後退させる可能性がある。これは決してSegwit2xの目標ではない」とコメントした。

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